海釣りの基礎・基本ともなる『磯竿』。
足場の悪い場所での釣りのときに長さのある磯竿は取り回しもしやすくとても便利ですが、対象魚にあった竿を選ばないと使い心地や竿の破損にも繋がるので、釣場や自身に合った竿を選ぶ必要があります。
とはいえ磯竿にはメーカーからいろいろな製品が発売されているので、初心者の中には、購入したいけれどどれがベストかわからないと悩む方も多いのではないでしょうか。
せっかく磯竿を購入するのなら、自身に合ったものを長く使いたい物です。この記事では、磯竿の特徴、選ぶときのポイント、初心者の方に適した磯竿の基準を解説していきます。購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
磯竿の特徴
『磯竿』は全長が長くしなやかに作られているので、磯場など足場の悪い場所でも扱いやすいです。また竿の胴体部分のしなりが効くため、大物がかかった場合でも竿が魚に対してまっすぐに向くことを防いでくれます。
磯竿の穂先は軽い仕掛けを扱えるようにできており、竿で使用できるハリスの『号数』により使用できる『オモリ』が変わってきます。釣り方によって竿の長さと号数を変える必要があるので、磯竿を選ぶときは自分の釣り方に合った磯竿を選びましょう。
おすすめの磯竿の選び方
磯竿を選ぶポイントとして『釣り場』、『対象の魚』、『竿の号数』、『規格』、『長さ』などがあります。釣りの目的にあった竿を選ばないと扱いにくさを感じたり使用しているときに破損をしたりするので、磯竿を選ぶときの参考にしてください。
釣り場と対象魚で選ぶ
魚によって引きの強さが違うので、磯竿を選ぶときは狙う魚に合った仕掛けを使用できる竿を選びます。磯竿は磯での使用を想定されて作られていますが、堤防での釣りに使用されることもあり、釣り場によって釣れる魚が違ってきます。
磯場ではメジナやイサキ、イシダイ、マダイなどが、堤防ではアジ、サバ、イワシ、メバルなどが対象魚です。磯竿のパッケージに対象魚が記載されているので、釣る場所や釣りたい魚に合っているか確認します。
磯竿の規格
磯竿のパッケージには規格が『1.5-530』などの数字で記載されています。1.5が竿の強さを表す号数、530が竿の長さを表していて、この数字の組み合わせによって使用できる仕掛けの重さや釣り方が変わります。
磯竿の号数で選ぶ
磯竿の『号数』とは、その竿で使用できる一番細い『ハリス』を表しています。『ハリス』とはリールに巻き付いている道糸の先に結んでおく釣り針に近い糸のことをいい、号数の数字が大きいほど重い仕掛けが使えます。磯竿の場合と遠投磯竿の場合で適した号数が変わるので注意が必要です。
磯竿の場合
『2号』の磯竿はある程度の重さのあるオモリを使用でき、取り扱いやすいので海釣りではオールマイティに使用できます。『1号』の磯竿は軽い仕掛けを使用する釣りに適していて、軽いため操作性も優れているところが特徴的です。
『3号』の磯竿では50cm程度の魚まで狙うことができ、『4号』の磯竿では竿の張りが強いため60cm程度の魚やブリやヒラマサなどの青物も狙えます。最近では、メーカーから発売されているのは3号までが多い傾向にあります。
遠投磯竿の場合
『遠投磯竿』を選ぶときは号数だけでなく、竿がどの程度のオモリの負荷に耐えられるかも重要です。遠投磯竿は重い仕掛けを投げる必要があるため、通常の磯竿よりも竿の強度が高くオモリの負荷にも耐えられる作りになっています。
アジやイサキ、クロダイなどを狙うのなら5~10号ほどのオモリの負荷にも耐えられる『3号』の遠投磯竿がおすすめです。中型から大型の青物などを狙うなら10~15号のオモリの負荷にも耐えられる『4号』の遠投磯竿か、12~20号のオモリの負荷にも耐えられる『5号』の遠投磯竿を選びましょう。
磯竿の長さで選ぶ
磯竿は全長が4m前後から6m程度のものまであり、釣りの方法や場所、対象魚によって適した長さが変わります。磯竿は長さがある重量も増すので力の弱い女性の方やお子様が使用する場合は、扱える重量にも注意が必要です。
磯竿の場合
磯竿の長さは5.3m程度が一般的な長さとなっています。5.3m程度の磯竿は長さがあるので磯からの釣りで魚を引き寄せるときにも便利で、足場の悪いところでの取り回しもしやすくなっています。
堤防からの釣りを考えている方だけでなく力の弱い方や初心者の方は、軽くて手元への負担も少ない4m程度の長さの磯竿が扱いやすくておすすめです。6mを超す磯竿は重さもあり取り回しが難しくなるので、中級者以上の方が釣り場などによって使うことがあります。
遠投磯竿の場合
遠投磯竿は4.5mと5.2mの長さが多く、一般的には後者の5.2mの遠投磯竿が使用されています。
もちろん遠投磯竿は磯竿よりも重たいオモリを使用するので、力の弱い方は取り回しが難しく感じるかもしれません。重たいオモリを使用する遠投磯竿でも4.5mの遠投磯竿は手元への負荷が少ないため、遠くに飛ばすのに必要な力も少なくすみます。
磯竿の素材と製法で選ぶ
現在販売されている磯竿の多くは炭素繊維である『カーボン素材』が使用されています。ガーボン素材で作られている磯竿は軽量で強度もあるのですが、感度をよくするために細く作られているので、折れやすいのが特徴です。
強度不足を補うために粘り強い性質の『グラス繊維』を混ぜて、磯竿の強度を上げている商品が多くあります。ただグラス繊維はカーボン素材よりも重量があるので、含有量が多いと磯竿を使用するときに扱いにくさを感じるかもしれません。磯竿を選ぶときはカーボン含有率も確認しましょう。
グリップの握りやすさで選ぶ
釣りをしていると竿を常に握っているので、できるだけ持ちやすい形状の『グリップ』の磯竿を選ぶようにします。磯竿によっては手にフィットする形になっているグリップもあり、竿を長時間握っていても比較的疲れない設計になっている製品もあります。
魚を釣り上げたときやエサをつけるときに手が濡れることもあるので、グリップ部分が滑らないように滑り止め加工がされている磯竿を選ぶと安心でしょう。
トータルバランスで選ぶ
磯竿は長さや号数、強度だけでなくリールを付けたときのバランス感覚も重要です。バランス感覚が悪いと釣りをしているときに取り回しが難しく感じられ、キャストをするときに狙った場所に届かないことがあります。
リールと竿の相性は使用してみないとわからないところもありますが、リールと同じメーカーの磯竿を選ぶとバランスが良くなる傾向があります。ぜひ覚えておきましょう。
価格で選ぶ
磯竿の価格は数千円から数万円と幅が広く、値段が高いほど性能が高くなってきます。値段の安すぎる磯竿は粗悪品もあり、一度の使用で破損することもあるので注意が必要です。
すでに説明したグラス繊維はカーボン繊維よりも安価なため、値段の安い磯竿に多く含まれていますが、グラス繊維は重量があるため磯竿が重たくなります。竿が重いと取り回しが難しくなるという点でも、グラス繊維が多く含まれている価格の安すぎる磯竿はおすすめできません。
初心者におすすめの磯竿は
磯竿選びのポイントを紹介しましたが、初心者の方だとどのような竿を選べばいいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。以下では、初心者の方が磯釣りを選ぶときに最低限抑えておくべきポイントを紹介するので参考にしてください。
重量や長さが適したものを選ぼう
磯竿は5.3m前後を選ぶと磯釣り・ウキ釣り・サビキ釣り・ぶっこみ釣り・カゴ釣りなど、海釣り全般的にも使える万能竿として使用できます。
釣り方や多少魚が決まっていない方は5.3mほどの磯竿を選ぶのが無難でしょう。しか、磯竿は長いほど重量が増えるので、女性やお子様が使用するのなら、少し短めの4m前後の磯竿でも十分でしょう。
号数の小さいものを選ぼう
釣り針に近いハリスは細いものほど魚に発見されず警戒されにくくなるので、なるべく小さい号数を使用するのがおすすめです。1号~1.5号程度の磯竿だと磯釣り・ウキ釣りに適しています。
1.5号であればグレ・チヌ・アジ・イワシなどが対象魚となり、堤防で釣れる魚を幅広くカバーできます。また号数が大きい磯竿より小さい磯竿の方がしなりやすく、感度も良好です。
号数の小さい磯竿であれば小さな魚でも釣れたことがわかるので、釣りの経験がない方でも釣りを楽しむことができます。
『中通し竿』がおすすめ
初心者の方は竿の内側に糸を通す『中通し』の磯竿がおすすめです。中通し式は『インナーガイド』とも呼ばれていて、糸が竿の内部を通っているので風による穂先の糸絡みなどが起こりにくくなっています。
中通しは竿の内部を糸が通るので使用後にメンテナンスが必要になってくるため、手間がかかるのが面倒と感じる方は『外ガイド』の磯竿がおすすめです。
外ガイドの磯竿は竿の外側にあるガイドに糸を通すので、中通しよりも糸の放出がしやすく使用後に竿のメンテナンスに手間がかかりません。しかし外ガイドは、糸が外に出ているので風の影響を受けやすく、安価なものだと錆などによる劣化が早くなります。
初心者のうちは糸の絡みをほどくのに苦労をして釣りを楽しむことができない場合もあるので、糸の絡みが起こりにくい『中通し竿』を選ぶのがおすすめです。