DIYやプラモデルの製作で、素材の成形や仕上げに便利な『ヤスリ』。電動工具よりも手軽に繊細なタッチで削れるのが便利です。ヤスリを購入して、DIY、プラモデル、工芸品の作成に役立てたい方も多いでしょう。
今回はヤスリの選び方とおすすめのヤスリを紹介していきます。数あるヤスリの中から目的にあったものを選ぶと、工作がはかどりますよ。早速チェックしていきましょう。
ヤスリとは
『ヤスリ』とは模型製作などで、パーツを滑らかにするための道具です。研磨することによってサビを落としたり、材料の形を変えることもできます。模型制作では必須のアイテムでしょう。種類が多いので、目的に応じて使い分ける必要があります。
素材の数だけヤスリの種類がある、といわれるほど、細かく分類できるのが特徴。鉄製のヤスリや木製のヤスリといった一般的なものや、ダイヤモンド製の特殊研磨用など豊富にあります。
ヤスリは手動で動かすのが基本ですが、電動ヤスリは木材や金属の加工に使われることが多いです。さまざまなタイプのヤスリがあるので、目的にあったものを選んでいきましょう。
ヤスリのおすすめの選び方
ヤスリは使用する目的に応じて、種類、形状、目の粗さが違います。仕上がりをイメージして選ぶと自分にあったヤスリを選べます。早速チェックしていきましょう。
種類で選ぶ
ヤスリには紙ヤスリからダイヤモンドヤスリまで、研磨する材料によってさまざまな種類が存在します。以下それぞれヤスリの特徴を説明します。
鉄工ヤスリ
『鉄工ヤスリ』は金属のバリ取りや面取りに使われることが多いです。機械の製造工場や自動車整備工場でよく見かけます。ヤスリの表面に刃がついた溝が刻まれており、押すことで研磨できるのが特徴。 鉄工ヤスリは引いても研磨できず、押さなければ材料を削ることができません。
鉄工ヤスリは工具鋼で作られています。より強度がある超合金などに使うと、破損の原因になります。また鋼よりもやわらかいアルミなどの金属に使うと、目詰まりを起こすので、鋼よりも硬い金属ややわらかい金属に使うのは避けましょう。
木工ヤスリ
『木工ヤスリ』は切断した木材の断面を滑らかにするために使われます。大工やDIYで使われることが多いです。木工ヤスリの表面は目の粗いトゲが多くついており、目詰まりしやすいやわらかい素材を削るのに向いています。
木材のほかにもアルミや銅、石膏も削れます。表面の目が粗い部分で削り、裏面の目が細かい部分で仕上げを行うのが特徴。DIYをする方に向いているヤスリといえるでしょう。
組ヤスリ
『組ヤスリ』とはさまざまな形状のヤスリをセットにした種類で、製品の仕上げに使われます。組ヤスリは細長く、それぞれ使う場所に応じて最適な形状に作られているのが特徴。細かいところまで仕上げるのに向いています。
組ヤスリはセットになっている本数によって規格が分かれています。JIS規格では5本組、8本組、10本組、12本組が適合品。また組ヤスリには5本組ではなく5本型というタイプがあります。しかし5本組とサイズが同じというだけで、5本セットになっているわけではないので注意しましょう。
ダイヤモンドヤスリ
『ダイヤモンドヤスリ』とはダイヤモンドの粒子を付着させたヤスリです。ダイヤモンドは金属よりも硬いので、通常は削ることが難しいセラミックや超合金を研磨する際に用いられます。
しかし目が細かいので、鉄工ヤスリと同様、やわらかい素材を削ると目詰まりを起こしてしまうのがデメリット。ダイヤモンドヤスリは刃ではなく、粒子で削るため、前後左右さまざまな方向に動かして削ります。削り取る力が強いので、軽く押し当てて使うのが上手な使い方です。
紙ヤスリ
『紙ヤスリ』は基材に研磨剤を付着させたもので、木材、金属、プラスチックなど素材を問わず、幅広く使われます。基材は耐水性と非耐水性の2種類に分けられるのが特徴。耐水性の基材は金属用として使われ、非耐水性のものは木工用として使われます。
また基材に紙でなく耐水性の布が使われているものは、電動サンダーに使用されます。使うときは基材をチェックしましょう。
粒子で削るので、使い方はダイヤモンドヤスリと同様に往復させながら研磨します。ヤスリを押しつけながら削るのではなく、表面を磨くように軽い力で使うのが上手な使い方です。
爪・かかとヤスリ
爪を研ぐために使われる製品や、かかとの角質を落とすための道具もヤスリに分類されます。ステンレスやガラスなど素材は多様ですが、どれも目が細かいのが特徴。
爪ヤスリはプラモデルの仕上げに使うことができます。目が粗いヤスリなら、パーツのバリを消せますし、目が細かいものはツヤ出しに使えます。意外な使い方ができるので、プラモデルを作る方は試してみるとよいです。
形状で選ぶ
ヤスリにはさまざまな形状があるので、研磨する材料の形にあわせて選ぶのが大切。それぞれ形をチェックしていきましょう。
平形
『平形』のヤスリは削る部分が平らになっているものです。薄い板のような形になっており、平面を研磨したり、面取りをするのに向いています。平面なので、一度に広い範囲を研磨できるのが特徴。大きなパーツを研磨するためによく使われるヤスリです。
平形のヤスリには、裏と表で目の粗さが異なるタイプも販売されています。目が粗い表で削った後に、目が細かい裏で仕上げるとった使い方もできます。ヤスリの基本的な形状なので、1本所有しておけば困らないでしょう。
半丸形
『半丸形』のヤスリは、カーブを描いている素材や、中空になっている素材を研磨するのに向いています。ヤスリが丸くなっているので、曲面を削りやすい形になっているのが特徴。中空の素材を内部まできれいに研磨することができます。
半丸形のヤスリには裏側に目が刻まれているものと、刻まれていないものがあります。刻まれているものなら、1本で平面と曲面どちらも仕上げることができるので、とても便利です。
丸形
『丸形』のヤスリは、円柱状の棒に目が刻まれたものです。細長い針のような形状をしているので、通常のヤスリでは使えない穴の中まで磨き上げることができます。チェーンソーの目立て用に使われることが多いです。
丸形ヤスリは先端が細いので、細かい作業が可能です。装飾として模様をつけられるので、デザインにこだわりをもたせられます。ねじ穴の研磨にも使えるので、使い勝手がよいです。
角形
『角形』のヤスリは、細長い四角形の形状をしており、側面全てに細かい目が刻まれています。平形のヤスリでは届かない、溝やパーツの隅まで研磨できるのが特徴。細かい部分まで研磨できるので、仕上げを行うのにピッタリのヤスリといえます。
三角形
断面が『三角形』になっているヤスリです。3つの面全てに目が刻まれています。角形よりもさらに細かい作業が可能で、さまざまな部品の角に当てて削ることができます。部品の溶接ポイントのビードを削るときにピッタリです。
菱形
『菱形』のヤスリは両刃ヤスリとも呼ばれています。形状の特徴から、ノコギリの刃に当てて目立てに使うことに向いています。DIYで丸ノコを利用する方は、菱形のヤスリがあれば簡単に目立てができるので、検討してみてはいかがでしょうか。
目の粗さで選ぶ
ヤスリは目の粗さによって、仕上がりが全く異なったものになります。削って形を変えるのが目的なのか、滑らかに仕上げたいのか、目的によって目の粗さを選びましょう。
粗目
『粗目』のヤスリは素材を大きく削り取ることができます。素材の形を変えることができるので、荒削りや切削り加工に向いています。素材を削って成形したい方や塗装はがしを行う方に向いているタイプです。
紙ヤスリの番手で#40~100が粗目に位置します。製品の加工において、最初に使われることが多いアイテムといえるでしょう。
中目
『中目』のヤスリは粗目のヤスリで、荒削りや切削り加工を行った後に仕上げとして使用します。DIYで簡単な家具を作成するときや、工具のサビ取りに使う程度なら中目のヤスリがピッタリ。
部材の成形をするには向いていませんが、滑らかに仕上げることができます。紙ヤスリの番手は#120~240に位置するので、購入する際の参考にしてください。
細目
『細目』のヤスリは、中目よりもさらに細かい目が特徴。近づいて見ないと目が見えないほど細かいです。細かい作業が多いプラモデルや工芸品の仕上げに向いています。中目よりもさらに滑らかに仕上がるので、とても美しい削り口になるでしょう。
目が細かいので、素材を削る用途には向いていません。荒削りや中目のヤスリで削った後の仕上げ用として使うのがベスト。紙ヤスリの番手は#280~800に位置しています。
油目
『油目』は細目よりもさらに目が細かいのが特徴です。非常に細かいので近づいてみても溝がうっすらと確認できる程度。素材の汚れを落としたり、ツヤを出すために用いられます。素材の加工には向いていません。最終仕上げ用として使いましょう。
紙ヤスリの番手は#1000~2000程度が極細目と呼ばれています。油目も極細目と同じ性能をもっているので参考にしてください。
ヤスリの目詰まりにおすすめのアイテム
『ヤスリ』は長い間使っていると目詰まりを起こして、ヤスリ本来の性能を発揮できなくなります。定期的に洗浄することで長もちさせられるので、しっかりお手入れするのが大切。
ヤスリの目詰まりを解消させるためのアイテムは、真鍮製のワイヤーブラシと、超音波洗浄機があります。
真鍮製のワイヤーブラシは安価で購入できるため手軽です。ワイヤーブラシには真鍮製とステンレス製が存在しますが、購入するなら真鍮製を選びましょう。
ステンレス製のワイヤーブラシだと、ヤスリに傷がついて劣化してしまうからです。必ず真鍮製のものを選んでください。
超音波洗浄機はワイヤーブラシでも落とせない素材を簡単に落とせます。目詰まりを起こしたヤスリがピカピカになります。アルミや銅など、落ちづらい素材を落とす際にピッタリのアイテムといえるでしょう。