スポーツや日々の健康管理にあると便利な『心拍計』。近年のマラソンブームで商品のラインナップが増え、手に入れやすい価格帯の心拍計も多くなりました。しかしはじめて使う人にとっては高価なものと安価なものとの違いがわかりにくく、何を基準に選んだらよいか難しいと思います。
そこでこの記事では心拍計を選ぶ前に知っておくべき重要ポイントや選び方を丁寧に解説していきます。また記事の後半では、おすすめの心拍計が搭載された端末を10種類ご紹介しますので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
心拍計とは
心拍計が搭載される端末
『心拍計』とは心拍数 (1分間に心臓が鼓動する回数)を計測する機器です。心拍計というと、テレビドラマで見るような手術室のモニターをイメージする人も多いかもしれませんが、現在個人が使用する心拍計は装着しながら日常生活や運動ができるよう非常にコンパクトな形状をしています。
心拍計単体ではなく、スマートウォッチ・デジタル腕時計・活動量計などの端末に搭載されることが多いです。『マラソンウォッチ』や『スマートブレスレット』と呼ばれる種類も増えてきており、他にも胸や上腕にベルトを巻いて装着する心拍計に特化したものもあります。
心拍計を使うメリット
心拍計を使うと自分の心拍数を常に把握できるため、日常生活において自分の健康を管理しやすくなります。たとえば心拍数が高ければ精神的なストレスや緊張を感じているかもしれません。あるいは単に体調が悪い可能性もあります。目には見えない自分の体調をコントロールするうえで、心拍数は有効な手助けになります。
さらにスポーツにおいては、心拍数によってどのくらい体に負荷がかかっているか把握できるため、トレーニングの仕方を変えたり、スタミナを維持できたりと最適なパフォーマンスを発揮するためには欠かせない存在です。
心拍計の使い方
体調管理に使う
心拍計は体調管理に重要な役目を果たしており、心拍数が高い状態が続くと体に負担がかかってしまいます。目に見えればいいのですが、残念ながら人は自分の心拍数を意識できません。
心拍計でそれを把握していれば、たとえば仕事中に心拍数が高まっていることがわかるかもしれません。ストレスがかかりすぎていないか振り返って、ひと休みすることもできます。『頑張りすぎて気がついたら疲労がたまっている』そんな人におすすめです。
また自律神経が心臓を動かしているので、心拍数が安定しない場合は自律神経が乱れている可能性があります。心拍計は見えない不調をキャッチする有効な手段です。
トレーニングに使う
スポーツのスタミナ向上や筋力トレーニングなどにおいて、心拍数を管理するのはメジャーな手法です。
まずリラックスした状態で測る『安静時心拍数』を把握し、その数値をもとに『最大心拍数』を算出します。この最大心拍数に対して、たとえば50%で1時間、80%で5分など運動の強度を調節すると、体に適切な負荷をかけられ、効率のよいトレーニングか可能となります。
また持久力の必要なスポーツでは、心拍数が上がりすぎないように注意しながら動き続けることで、スタミナが切れないよう調節も可能です。
心拍計のおすすめの選び方
目的で選ぶ
購入する目的を明確にすることは、心拍計を選ぶための第一歩です。
心拍計を搭載している端末は、大きく2つに分かれます。1つは、マラソンやサイクリング、水泳など個別のスポーツを想定したもの。もう1つは日常生活で装着したたまま計測することを想定したものです。
スポーツで成果を上げたい・記録を伸ばしたいという目的なら前者を、日常生活に取り入れて自分の健康管理をしたいという目的なら後者を選びましょう。
機能で選ぶ
心拍計が搭載されている端末は、多数の機能を兼ね備えていることがほとんどです。自分にとって、便利な機能をチェックしておきましょう。
・防水防塵
・GPS
・睡眠記録
・万歩計
・活動量計
・アラーム
・Bluetooth接続
・消費カロリー表示
・長時間座っていることをお知らせしてくれる機能
・スマホの着信・受信通知
機能が充実していると、1台で健康に関するデータをさまざまな角度から分析できます。特にスマートウォッチと記載されているものは機能が満載です。心拍計としてだけでなく、日常生活の相棒として強力な存在になるでしょう。
心拍の感知方法で選ぶ
心拍の『感知方法』は主に2つです。1つは心臓の『電気信号』を読み取る方法です。心臓の上にセンサーがくるように胸囲にベルトで取りつけるタイプが多く、計測の精度が高いので激しいスポーツや筋力トレーニングで使用されます。
もう1つは『光』で読み取る方法です。手首に巻きつけるタイプは、ほとんとが光学式のセンサーを搭載しています。血管の太さが変わる様子を読み取るものや、光の吸収量で血流量を感知するものなど、メーカー独自の技術があります。ウェアラブル端末に搭載されることが多く、私たちに身近な心拍計です。
形状で選ぶ
心拍計の形状は装着する場所に左右されます。
もっともラインナップが豊富なのが、『手首』につけるタイプで目立たないため仕事中でも使いやすいです。
次に種類が多いのが、『胸』の周りにベルトで巻きつけるタイプです。計測精度が高いので、激しい運動をする人や厳密に心拍をコントロールしたい人に向いています。
一方で女性にとっては、下着と干渉しあって使いにくいという難点があります。そのような場合にはみぞおちの下のあたりに装着してみると、心臓から多少離れても感知するものあるため購入前にメーカーに問い合わせておくと安心です。
他にも、『二の腕』に巻きつけるアームバンドタイプや、足首用、水泳用のゴーグルに装着してこめかみ付近で計測するタイプもあります。さらにPCゲーム中の心拍数を測れる『マウス』まで販売されています。
バッテリーの保ちのよさで選ぶ
24時間計測をする場合は、バッテリーの保ちのよさは大事なポイントです。充電なしで少なくとも24時間以上持たなければ、1日における心拍数の上下を把握できません。
2~3日バッテリーが保つ心拍計なら、出張や旅行でも充電器を持ち歩く必要がなくて楽です。1週間保つ心拍計なら、平日は24時間つけっぱなしにしておいて、週末に充電するというサイクルで過ごせます。
限定した時間、たとえば1時間ランニングをする間だけ計測できればいいという場合は、それほど重視しなくても問題ないでしょう。
PC・スマートフォンとの連携機能で選ぶ
心拍計が搭載された端末をスマホやPCと連携して使う人は多いでしょう。その場合は、接続方法をチェックしましょう。
『Bluetooth』や『ANT+』などの通信規格で接続できるのか、またPCとも接続できるのか確認しましょう。端末とスマホのメーカーが同じだと、ペアリングに問題が起こりにくいというメリットがあります。
ベルトの素材で選ぶ
長時間肌に密着するものだからこそ、ベルトの『素材』には気をつけたいところです。短時間の使用であってもスポーツの場合は汗をかきますので、かぶれ・かゆみの原因になることもあります。金属アレルギーがある人は、肌に触れる部分に『金属』が使われていないかチェックしましょう。
やわらかい『シリコン』のベルトだと装着している間のストレスもなく、肌への影響も少ないでしょう。またデバイスが生活防水だと水でさっと汗を洗い流せて清潔に保てます。
デザイン性で選ぶ
腕につけるタイプの心拍計であれば、豊富なデザインから選べます。高級なアナログ腕時計のようなデザイン。『Apple Watch』のようなディスプレイが大きく四角いデザイン。女性向けにつくられた、アクセサリーのように金属が輝くブレスレットデザインなど商品の幅は非常に広いです。
デザイン性で選ぶ際には自分の普段の服装と心拍計とのコーディネートを意識して選んでみましょう。ベルトが交換可能な商品もあるので、付け替えを楽しむのもかぬです。毎日つけることを想定している人は、好みのデザインから選ぶと見るたびに気分が上がります。
価格帯で選ぶ
心拍計を搭載した端末の中には、3000円以下の低価格モデルが増えています。多くはスマートウォッチタイプです。リーズナブルなので、具体的な目的はないけれどひとまず心拍計を使ってみたい人におすすめです。
1万円前後からはスポーツ向きのラインナップが増え、水泳で使えるレベルの防水機能がついたモデルも販売されています。中には10万円を超える、登山やトレイルランニング向きのスポーツウォッチに搭載されている心拍計もあり、そのような心拍計は、地図機能が充実していてバッテリーも長保ちするという点も魅力です。