部屋を涼しく快適にしてくれる『冷風機』。ミニクーラーのような冷房器具で、間取りが小さくクーラーが設置できない家庭や作業場所で使われています。クーラーに比べて格段に小さいため、持ち運びもしやすいのが特徴です。
今回は冷風機の特徴と選び方をご紹介します。自宅にあった冷風機を買って暑い日も快適に過ごしましょう。
冷風機と冷風扇の違いとは
冷風機と似た冷房器具で、冷風扇というグッズがあります。まずはそれぞれどのような特徴があるのをご紹介します。
熱交換器で風を冷やす『冷風機』
冷風機は持ち運びがしやすいことから、『スポットクーラー』とも呼ばれています。冷風機は冷たい空気を送り出すのに、熱交換器を使っており、外から取り込んだ空気を冷たくすることで冷風を部屋内に送り出してくれています。
一方、空気から熱を奪うという仕組み上、熱風を排出するダクトが付いている製品がほとんどです。そのため部屋の温度が高いと、冷風を出すのに効率が悪くなってしまうというデメリットがあります。
気化熱を利用した『冷風扇』
冷風扇とは、気化熱を利用した冷房器具のことです。外から取り込んだ空気が、冷風扇内の水を含んだフィルターを通る際に水分が蒸発することで冷風を送り出します。冷風機と比べてシンプルな作りのため、動作音が静かということが大きな特徴です。一方、湿度が高いと水が蒸発しづらくなるため、涼しい風を出せなくなるという欠点もあります。
冷風機のメリット
コンパクトながらクーラーと同じ役割を果たしてくれる冷風機ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。冷風機のメリットを4つご紹介します。
エアコンと同等の冷却効果
冷風機は持ち運びできるほどコンパクトでありながら、クーラーと同じような冷却効果があるのが一番の特徴です。クーラーをつけられない部屋でも、冷風機を置いておくだけで部屋を涼しくしてくれます。またスポット的に部屋を涼しくできるのは冷風機ならではのメリットです。
除湿効果も期待できる
冷風機は冷風扇とは異なり、除湿も可能です。冷風扇は水が蒸発することで冷風を生み出しているため、長時間利用しているとそれだけ湿度も上昇してしまいますが、冷風機は除湿機能が付いているため、湿気を上げずに室内温度を下げられます。暑い夏はもちろん、梅雨時の湿度対策にもなるため、幅広く役立つことでしょう。
室外機の設置が不要
冷風機は単体で作動するため、クーラーのように室外機が必要なく、気軽に利用できます。またコンパクトなので持ち運びも楽にできてしまいます。梅雨時はお風呂上がりに使ったり、暑さが厳しい真夏はリビングを冷やしたりと、季節や場所に応じて必要な場所で使用できるため、マルチに活躍する冷房機器です。
洗濯物の乾燥も可能
ご紹介した通り、冷風機は除湿の機能がついている製品もあるため、洗濯物の乾燥にも使用できます。梅雨時はもちろんですが、特に洗濯物は基本的に部屋干しがよいという方には生乾きを防ぐためにもおすすめです。洗濯物が早く乾くため、時短にもなります。
冷風機のデメリット
一台あればマルチな活躍をしてくれる冷風機ですが、デメリットもあります。
比較的消費電力が高い
冷風機は冷風扇に比べて消費電力が高いことが1つ目のデメリットです。冷風機は内部のコンプレッサーを作動させて冷たい空気を作り出しますので、気化熱を利用して冷風を送り出す冷風扇と比べて電力を消費しやすいようになっています。
具体的には、扇風機、冷風扇が1時間0.5円〜1円かかるのに対して、冷風機は1時間で9円と、性能も高いのですが費用も多くかかってしまいます。中には省エネタイプの製品もありますが、消費電力を抑えたいという方は注意が必要です。
コンプレッサー搭載なので静音生には難点あり
もう1つのデメリットは『音』です。冷風機は内部に『コンプレッサー』を搭載しているため、音が気になることがあります。寝るときに寝室で冷風機を使用する場合は、特に音が気になるかもしれません。静かな音の冷風機をお求めの場合は、静音設計の冷風機も販売されているため、購入前に確認しておきましょう。
おすすめの冷風機の選び方
クーラーの取り付けが難しい部屋での利用や、洗濯物の乾燥など幅広く活用できる冷風機ですが、販売されている製品は種類が多く、どれを選べばよいのかわかりづらいことがあります。そこでここでは冷風機の選び方をご紹介します。用途にあった冷風機を選ぶためにもポイントをおさえておきましょう。
冷風機本体の大きさ、重さで選ぶ
冷風機を選ぶ際は、まず本体の大きさと重さで選ぶようにしましょう。冷風機は製品によって本体の大きさはさまざまです。コンパクトで持ち運びができるのが売りとはいえ、大きすぎては部屋の邪魔になってしまいますし、重たすぎでは移動しづらくなってしまいます。
購入前にどの部屋でどのように使うのか確認した上で、本体の大きさ重さを判断しましょう。多少重くてもキャスターがついているものであれば移動しやすいため、キャスター付きがどうかも確認しておくとよいでしょう。
冷風機の水タンク容量で選ぶ
冷風機の中には『除湿モード』が搭載されているものがあります。除湿をすると冷風機内のタンクに水が溜まっていく仕組みです。水が一定に達すると自動で止まるものが多く、水タンクの容量が少ない製品だと、気づかないうちに水タンクが一定になり冷風機が止まってしまうことがあります。
そのため涼しくて快適な環境を長く維持させたいのであれば、水タンクの容量が多い製品を選ぶのがおすすめです。容量タンクが大きいとそれだけ価格も上がる傾向にあります。希望の冷風機が予算内で収まらない場合はタンク内の水の量をこまめにチェックして、冷風機が止まらないようにチェックしましょう。
冷風機の稼働音で選ぶ
冷風機の稼働音も選ぶ上で重要なポイントになります。冷風機はクーラーと同じような音を出すので、寝室をはじめ、音を気にせずに使いたい場所がある場合は注意が必要です。冷風機の中には静音設計がされているタイプの製品もありますので、冷風機の音を気にせずに使いたい方は購入前にチェックしてみてください。ちなみに騒音値は『デシベル (dB)』で表記されており、値が小さい分音が静かな冷風機となります。
小型で騒音値の低い静音設計のものを
冷風機をいたるところで活用したい方は、小型で騒音値の低い冷風機を選びましょう。冷風機は小型の製品ほど、静音なものが多いという特徴があります。そのため小さな冷風機であれば寝室をはじめ音が気に鳴る場所でも快適に使用ができるでしょう。
また小型であればあるほど持ち運びが楽になるため、昼はリビング、洗濯部屋、夜は寝室など使いたい場所に簡単に持っていけます。小型の冷風機は静音で持ち運びがしやすいという2つのメリットがあるため、ぜひ検討してみてください。
冷風機の手入れのしやすさで選ぶ
冷風機は長く使っていく上で手入れも必要となります。そのため手入れがしやすい製品を選ぶとより楽に使い続けられます。特に除湿する際に水をためる水タンクは、水垢がたまりやすい場所であるため、水タンクを手入れしやすいかどうかは購入前に確認しておきましょう。
またフィルターを交換しやすい製品も手入れがしやすいので、水タンクと同様、フィルターの手入れのしやすさも確認しておくとよいでしょう。
冷却能力で選ぶ
冷風機を使って、広い範囲を冷やしたい方は冷却能力が強い冷風機が必要になります。その際に重要となるのが冷却能力値となる『kW』数の確認です。kW数が高いほど冷却能力が高い冷風機ですので、購入前に確認しておきましょう。目安としては家庭用であれば『2.0kW』、業務用であれば『2.5kW』です。
なお小型な冷風機ほど冷却能力が低い場合がありますので、小型の製品を検討している方は特に『kW』を確認しておきましょう。
畳数表示の確認で選ぶ
冷風機を買う際は畳数表示の確認もしておきましょう。冷風機は使いたい場所の広さによって、冷却効果を発揮しにくくなることがあります。そのため使う場所にあった畳数のタイプを選ぶのがポイントです。
冷風機の中には6畳タイプや15畳タイプなどさまざまな畳数に対応した製品があります。また木造か鉄筋によっても効果的に使用できる畳数が異なります。事前に確認しておくことで、買った後に後悔してしまわないようにしておきましょう。
充実の機能で選ぶ
冷風機は部屋内を涼しくしてくれるのはもちろん、その他の機能性も充実していますので、それぞれご紹介します。
キャスター付きは持ち運びや移動も簡単
キャスター付きの冷風機は持ち運びがしやすく、とても便利です。特にさまざまな部屋で冷風機を使う想定をしている方は、キャスターが付いているかどうかを事前に確認しておきましょう。キャスターは冷風機を使わないときでも収納に役立ちますので、予算内で購入できるのであればぜひキャスター付きの冷風機を検討してみてください。
除菌機能付きなら強力なウイルス対策にも
冷風機の中には除菌機能がついた製品があり、特にウイルス対策がしたい方には除菌機能がついている冷風機をおすすめします。
除菌効果がある冷風機は、除菌イオン効果で浮遊するカビ菌を除去したり、ウイルスが部屋に広まるのを防いでくれたりするため、赤ちゃんがいる部屋でも安心して使用できます。もちろん大人の風邪予防としても使えるため、除菌機能がついている冷風機は見逃せません。
寝室で使うなら静音性に優れたタイマー付きがおすすめ
寝室で冷風機を使う予定がある方は、静音性に優れたタイマー付きの冷風機を検討しましょう。夏は部屋内の温度が高いと寝つきづらいため冷房器具が必要になりますが、冷房をつけたまま一晩寝てしまうと体が冷え切ってしまいます。
寝室で使うため静音性が高いと便利なのはもちろん、タイマーが付いていることで、体が冷え続けるのを防止できます。特に子どもの寝室に使いたい場合は、タイマー機能は必須といえるでしょう。
おすすめの冷風機ブランド・メーカー
冷風機はさまざまな製品がありますが、各メーカー毎に特徴が異なります。ご家庭に合う特徴のメーカーがあれば、そのメーカーの冷風機を優先に検討してみてください。
CORONA (コロナ)
『CORONA』の冷風機は、多機能で低価格という特徴があります。冷房機能はもちろん、除湿や衣類の乾燥機能がついており、冷房も除湿もできる優れた製品が多いため、人気のメーカーの1つです。
山善 (YAMAZEN)
『山善』の冷風機は工場などの作業場に使われることが多く、強力な冷却能力が人気です。冷風機はもちろん、冷風扇などの取り扱いが豊富でコスパに優れた製品を数多く生み出しています。工場などで使われることが多いですが家庭用にスリムなタイプの製品も販売しています。
TOYOTOMI (トヨトミ)
『TOYOTOMI』は石油暖房機器で有名なメーカーですが、冷風機も優れた製品を販売しています。冷房能力が高いため、エアコンの設置がない家庭で、かつ冷却効果を期待している方はTOYOTOMIの冷風機がおすすめです。
Suiden (スイデン)
『Suiden』の冷風機は使い勝手の良さが特徴的です。業務用の冷風機をメインに販売しているメーカーですが、省エネタイプや、スペースを取らないタイプの家庭用向け冷風機も販売しています。使い勝手の良さから、顧客からの信頼がとても厚いメーカーです。