『オーディオスピーカー』は各メーカーがあらゆる商品を販売しており、1万円を切る商品から100万円以上のマニア向けの高級商品まであって、性能も千差万別です。スペック表をみても専門用語が多く、オーディオ初心者には違いがわかりにくい面もあります。
今回はそんなオーディオスピーカーの選び方を初心者でもわかりやすいように丁寧に解説していきます。記事後半ではおすすめの商品をランキング形式でご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもオーディオスピーカーとは
スピーカーには2種類ある
オーディオスピーカーには『アクティブスピーカー』と『パッシブスピーカー』の2種類があり、2つの大きな違いはアンプを内蔵しているかどうかになります。アンプとはプレイヤーが流した音を増幅し、スピーカーに伝える装置です。
『アクティブスピーカー』にはアンプが内蔵してありますが、『パッシブスピーカー』にはアンプが内蔵されていないので別途アンプを買わなければなりません。アクティブスピーカーはPC用スピーカーやBluetooth対応スピーカーなど、簡便に使えてコンパクトな製品に多いタイプです。
本格的に楽しむならパッシブスピーカーがおすすめ
アクティブスピーカーはアンプを内蔵しているため、プレイヤーにつなぐだけで音が出ますが、パッシブスピーカーはアンプを内蔵していないので、スピーカーと合わせてアンプも用意しなければいけません。
あえて用意するのが面倒に思えるかもしれませんが、裏を返せばパッシブスピーカーは一からパーツを組み立てられる分、非常に自由度が高いのが魅了です。購入後に機器の組み合わせを変えて、好みの音質を本格的に追求していきたい方には『パッシブスピーカー』がおすすめです。
コンパクトさを重視ならブックシェルフ型がおすすめ
コンパクトさを重視するユーザーに人気なのがブックシェルフ型のスピーカーです。ブックシェルフ型スピーカーが注目されている理由をご説明していきます。
コンパクトさが魅力
『ブックシェルフ型スピーカー』はその名の通り、本棚に収まるサイズのスピーカーです。その小ささゆえに低音域の再生は苦手ですが、フルレンジもしくは2WAYのタイプが多く解像度の高いクリアな音を得意とします。
大きいスピーカーは小さい音量でその性能を発揮できず、逆に低音が弱くなってしまいます。そのため防音設備がない自宅など、出せる音量が限られている場所で使用する場合や、6畳ほどの部屋で使う場合には、コンパクトでも高音質を出せるように設計してあるブックシェルフ型がおすすめです。
小さくても高品質なサウンド
以前のスピーカーは、大きいければ大きいほど高音質といわれていました。たしかに大きいスピーカーは迫力のある低音を響かせますが、小さなスピーカーも性能が向上してきています。
スピーカーユニット自体の技術改善はもちろん、スピーカーを格納するエンクロージャーの改良も進んできました。またコンパクトさゆえのデメリットを補うには、高性能なアンプの力が欠かせません。近年、小型でもパワーのあるアンプが次々と登場しており、小型スピーカーだから音が悪いということはなくなってきています。
おすすめなオーディオスピーカーの選び方
形状で選ぶ
ブックシェルフ型
先述のように『ブックシェルフ型』は、本棚におけるほどの小型のスピーカーで、置き場所に困らない反面、スピーカーの容量が必要となる低音域の再生は苦手です。
音量も比較的小さめのものが多くなっています。しかし日本の小さい住宅スペースでも扱いやすく、リーズナブルな商品も多いため人気の形で。音質も通常の音量で聴くぶんには、大型スピーカーにも引けをとりません。
トールボーイ型
背の高い形状のため『トールボーイ型』と呼ばれるスピーカーで床との設置面積は小さく、ブックシェルフ型と変わらないので、テレビやスクリーン横のスペースにも設置しやすいと好評です。
背が高いぶん容積が大きく、低音域もしっかり楽しめます。複数のスピーカーユニットから音が出るマルチWAYタイプが多く、低音から高音までワイドレンジに対応します。10畳を超える大きな部屋で、大音量で聴けるスピーカーをお探しの方におすすめです。
フロア型
『フロア型』は床に置くタイプの大型オーディオスピーカーです。音質、音量、お値段のすべてにおいてご紹介した3つの形状のうちでは最高で、最も本格的なスピーカーと考えてよいでしょう。使いこなすには広さのある本格的なオーディオルームが必要です。
ステレオ・サラウンドで選ぶ
スピーカーの数によってステレオスピーカー、サラウンドスピーカーという分類もあります。
ステレオスピーカー
『ステレオスピーカー』は左右2つのスピーカーでそれぞれ違う音を出し、音に立体感を与えるタイプのスピーカーです。サラウンドスピーカーと比べてスピーカーの数が少ない分、費用が抑えられ設置も楽です。
はじめてオーディオセットをそろえるなら、ステレオスピーカーでも十分楽しめるでしょう。『低音が足りない』『より立体感のあるサウンドを楽しみたい』と感じるようになったら、スピーカーを買い足していくのもおすすめです。
2.1chサラウンドスピーカー
サラウンドスピーカーの名前につく『〇.〇ch』はスピーカーの数をあらわす数字です。整数部分が全音域のスピーカーの数で、小数点部分が低音域のスピーカー (ウーファー)の数になります。つまり『2.1chサラウンドスピーカー』は、ステレオスピーカーにウーファーを1つ足したものということです。
ステレオスピーカーに比べると、低音用のスピーカーが付いていることでより臨場感のある音を再現できます。
5.1chサラウンドスピーカー
『5.1chサラウンドスピーカー』は全音域用のスピーカー4つと、中音域・低音域用のスピーカー1つずつから構成されています。計6つものスピーカーを、前後左右に配置することで、よりリアルで迫力のある音を楽しめるでしょう。ホームシアターに向いているタイプです。
WAY数で選ぶ
スピーカーの主役の音を出すユニットを、いくつ内蔵しているかあらわしたのがWAY数です。WAY数ごとの特徴を見ていきましょう。
フルレンジスピーカー
『フルレンジスピーカー』とは、スピーカーユニットを1つだけ搭載したスピーカーのことをいいます。1つのユニットで全音域をカバーしているので高音低音の再生には限りがありますが、繊細でクリアな音を出せるのがフルレンジスピーカー最大の魅力です。スペースを取らないブックシェルフ型スピーカーに多いタイプになります。
2WAYスピーカー
高音域用と低音域用の、2つのスピーカーユニットを搭載しているのが『2WAYスピーカー』。2WAY以上の複数のスピーカーユニットを持つスピーカーは『マルチWAYユニット』とも言い、フルレンジスピーカーよりも広い音域をカバーできるのがポイントになります。フルレンジのクリアな音が好きでも、低音の弱さが気になる方におすすめです。バランスが良くブックシェルフ型で多用されています。
3WAYスピーカー
3つのスピーカーユニットを搭載しているのが『3WAYスピーカー』で、2WAYの高音域・低音域に加え、中音域用のスピーカーユニットも備えています。超低音域から高音域まで幅広く再生できるのが特徴です。ただしWAY数が増えるにつれユニット同士の干渉やつながりの悪さが音質に大きく影響してくるため、ネットワーク回路と呼ばれるユニット間の振り分けに関わる部分の性能が重要になってきます。
なおそれぞれの音域のユニットは以下の呼び名があります。
・高音域用スピーカーユニット……『トゥイーター』
・中音域用スピーカーユニット……『スコーカー』
・低音域用スピーカーユニット……『ウーファー』
商品説明でよく出てくるので覚えておきましょう。
ユニットの種類で選ぶ
『ユニット』とはスピーカーの主役である、音を出すパーツのことで、基本的にはアンプから電気信号を受け取り、振動板を揺らして音に変換するという仕組みになっています。振動板の形によって出る音に違いがあるため、どの音域にどんなタイプのユニットが使用されているかがスピーカー選びのポイントになります。
コーン型
『コーン型』はもっとも基本的な形のスピーカーユニット。振動板がコーン (円錐)状になっており、直径が大きいほど低音域を再生できます。高音域は苦手なので、トゥイーターとしてはあまり使われません。
ホーン型
『ホーン型』はメガホンのような形のユニットで音を増幅するため大音量が得意です。指向性が狭くなりがちで、ドーム型と反対の性質を持ちます。
リボン型
『リボン型』は振動板がリボン状になったもので、超高音域の再生に優れています。薄い金属でできており、硬質で特徴的な音を鳴らします。
ドーム型
『ドーム型』は振動板が半球状のドームのような形をしたユニットです。音が広がるのが特徴で、広いスペースでの使用に向いています。
エンクロージャー (筐体)で選ぶ
『エンクロージャー』とはスピーカーユニットがはめ込まれている箱のことです。スピーカーユニットは単体だと前と後ろからの振動が混ざって綺麗な音が出ないため、エンクロージャーで前後を分ける必要があります。
エンクロジャーにもいくつか種類がありますが、メジャーなのは『密閉型』と『バスレフ型』です。
密閉型
『密閉型』は完全に箱の形になっていて、空気の漏れる場所がないタイプです。ユニットの後ろから出る振動を受け止めバネのようにはたらき、締まりのある低音を響かせます。
バスレフ型
一方『バスレフ型』は箱にポートと呼ばれる穴が空いていて、そこで空気の調節をするタイプです。ポートがあることでスピーカーが小さくても豊かな低音を出すことができます。ポートは前に付いているタイプと後ろについているタイプの2種類です。ブックシェルフ型ではバスレフ型が主流となっています。
インピーダンスで選ぶ
『インピーダンス』とはスピーカーの『電気抵抗』のことです。通常は4〜8Ωで、数字が小さすぎるとアンプに負担がかかりすぎ故障の原因となります。アンプのインピーダンスとそろえるようにしましょう。
出力音圧レベルで選ぶ
『出力音圧レベル』とは音の大きさの指標で、1Wの電気信号を与えたときに、1m離れたところでどのくらいの音量が聞こえるかをあらわしたものです。
メーカーによって測定の条件が異なるので数値をそのまま比較できるわけではありませんが、数字が大きいほど大きい音を出せる、感度のよいスピーカーということになります。
ハイレゾリューション (ハイレゾ)対応で選ぶ
CDで再生できる音質よりもさらに高音質の音源データが、パソコンで手に入るようになりました。オーディオスピーカー購入の際には、『ハイレゾ』と呼ばれる高音質音源に対応しているかもチェックしておいた方がよいでしょう。
なおハイレゾの音源を再生するには、高音域40kHz超に対応していないといけません。