一昔前と比べると、個人宅でもPCに普及により気軽に音楽制作に打ち込める環境を作ることができるようになりました。以前はヘッドホンと言えばCDを聴くためにいいものを選ぶということが多かったですが、制作を趣味にするとなるともっとヘッドホンにこだわりたいという気持ちが湧いてくるのは必然です。
年々新商品が出る中でどれを選べば間違いがないのか迷われる方も多いのではないかと思います。今回はそんな『モニターヘッドホン』の選び方を詳しく解説していきます。
モニターヘッドホンとは
市場に出ているヘッドホンには様々な種類があります。『モニターヘッドホン』とは何か定義や規格があってモニター用と区別される訳ではありません。あくまでモニター用に適しているということを売りにしている商品です。
音楽制作の現場で実際使われているものから、キャッチコピーの為にただ謳っているだけというケースも少なからずあるので、使いたい目的に合わせてしっかりと選ぶ必要があります。
特徴
『モニターヘッドホン』は、レコーディングスタジオやテレビ局などの放送局でも実際使用されているものです。プロの使用にも認められるモニターヘッドホンにはいくつかの特徴が挙げられます。
その中で一番の特徴は、原音を損なわずに聴くことができるということです。ヘッドホンに入力可能な最大入力が高く、音が歪みにくいように作られています。二つ目の特徴は、音の周波数のレンジが幅広いので音の解像度が高く、細かい音も聴きとりやすく作られていることです。
最後に挙げられるのが、プロの使用にも耐えられる高い耐久性です。大音量に耐えることのできる音圧感度にも注目すべきです。これらの特徴を併せもったヘッドホンこそがモニター用にふさわしい商品といえます。
モニターヘッドホンと普通のヘッドホンとの違い
モニターヘッドホン
『モニターヘッドホン』は、元の音をよく聴くということに特化しているものです。従って、演奏やレコーディングした音を限りなくそのまま評価することができます。元の音を聴くことができることによって、ヘッドホンの種類に左右されず演奏したものや録音されたものがどのような状態になっているかということを正確に観測することができます。
正確に原音の観測ができるため、音源を編集したりチェックする際のベースが出来上がります。また音声や映像に合わせて音楽を流す際にも、音のバランスや効果音の種類によって音量がバラバラになっていないかチェックすることができます。このようなチェックを必要とするときには普通のヘッドホンは適しません。モニターヘッドホンはあくまで音楽を楽しんで聴くということより、音を一つずつ検証することに特化したものが優れてるといえます。
普通のヘッドホン
音楽を聴くための『ヘッドホン』をモニターヘッドホンと区別して『リスニングヘッドホン』ともいいます。音楽を楽しむために使うものです。例えば、EDMであればより低重音を響かせるように、クラシックであればコンサートホールのような音の広がりが感じられるようにチューニングされているものが人気です。
音楽を楽しむのであればニーズにマッチしているといえるのですが、楽曲を作成するとなると元の音の通り聞くことができません。
モニターヘッドホンのおすすめポイントとは
音の解像度が高くいままで聴こえなかった音がわかる
解像度という言葉はよく写真データで使われます。解像度が高いほど細かい部分までよく撮れている写真ということを表す数値です。解像度が高い写真ほど拡大してもぼやけません。
写真と同じように音の解像度が上がることにより聞ける音が広がり今まで聴こえなかった音が聴こえます。例えば楽器が重なっていて一つの音になっていたものが、ひとつひとつの音として聴き分けることができるようになります。
元の音を忠実に再現し、音場感を感じられる
音場感とは聴こえてくる音の距離を感じられるという意味です。オーケストラであれば演奏者の位置は、バイオリンとシンバルの演奏者は違います。
生演奏であればそれぞれの距離や方角からの音が耳に届きますが、それを忠実に再現できることで演奏者の位置を調整したりということができます。
プロの使用に耐えるための高い耐久性
音楽スタジオや放送局では大音量を流したり長時間の使用に耐えうることを要求されます。最大入力の数値の大きいほど大きな音にも耐えることができるという目安です。
また、長時間の使用に耐えるために単純な構造で物理的に壊れにくい作りになっているかというのもモニターヘッドホンの評価基準になります。
おすすめのモニターヘッドホンの選び方
装着感で選ぶ
長時間ヘッドホンをつけたままで使用していると、肌に合わなかったり形が合わないと耳が痛くなります。実際装着してみて違和感を覚えないか試してみるのもいい方法です。ただ、店舗では長時間試すのは難しいです。
実際使ってみてから気づくことも多いですので、ヘッドホンの耳に当たる部分のパッドだけ交換できるモデルにしておくことをおすすめします。交換できるモデルであれば自分に合ったパッドに変更できますし清潔です。
ハウジングの形状で選ぶ
『ハウジング』とは、ヘッドホンの耳に当たる部分のことです。プラスチックでできているものが一般的ですが、木材や金属でできているものもあります。また、『密閉型』と『開放型』があり、それぞれ音の響きが変わります。
密閉型
『密閉型』は文字の通り、ハウジングが密閉されており音がもれない構造のものです。内側の音ももれにくいですので外部の音も遮断できるつくりになっています。
周りがガヤガヤする屋外や屋内でも周りにたくさん人がいるような音楽スタジオなどで使う場合におすすめです。周りがどれだけ騒がしくても、ひたすら音だけに集中して聴くことができます。
難点としては密閉されているため、少し音がこもって聴こえてしまう場合があります。
開放型
一方、『開放型』はこちらもそのままでハウジングの外側が密閉されておらず空気が自由に出入りできる構造です。密閉型とは逆で空気が通りぬけるので音がこもりにくく開放感があります。
ただし、開放されているため周りの音が入りやすいのが難点です。一人でいられるような空間、例えば自室や防音設備のある部屋など人の出入りがなく作業にもともと集中できるような場所が確保できるなら開放型も選択肢に入ります。
コスパで選ぶ
だれしもが一番高性能なものを手に入れたいという願望はありますが、高性能なものはやはり値段も比例してあがるものです。モニターヘッドホンは安いもので2000円から高いものですと数万円は予算として考える必要があります。
どれぐらいヘッドホンに予算として出せるかはお財布との相談になりますが、プロのように大音量で常に使う予定がなければ耐久性能を重視しなければ価格帯を下げることができます。
再生周波数帯域で選ぶ
人の耳で音として感じることができる周波数は下限は20Hzからで上限は15,000Hz〜20,000Hz程度です。音として感じることができる周波数を『可聴域』といいます。しかし可聴域を超えた周波数も可聴域の音に影響することが分かってきました。モニターヘッドホンでは最大40,000hzまで対応しているモデルも出ています。
メーカーによって周波数の測定方法が異なるということもあるので、数字を見るだけでなく実際に聴いてみたりクチコミを参考にするといいです。
出力機能の有無
ヘッドホンのほとんどが『入力端子』はついていても『出力端子』はついていないことが多いです。しかし、なかには出力端子がついているモデルもあり手近なスピーカーやヘッドホンへ出力して複数人で聴きたいときに役立ちます。
モニターヘッドホンの人気おすすめメーカー
SONY (ソニー)
日本を代表する電子機器のメーカーのひとつして常に降臨し続けている『SONY』。国内にとどまらず世界でも一流のメーカーとして最新技術を牽引し続けています。SONY初のヘッドホンは1979年に初代ウォークマンの付属品として発売されました。
その後進化は続き、当初SONYのスタジオ内で使うために1989年に開発された『MDR-CD900ST』は、販売から30年以上過ぎたいまでもプロのスタジオで業界標準として愛され続けています。
SHURE (シュア)
1925年にラジオのパーツ販売という個人商店から始まった『SHURE』は、その後マイク開発に移ると世界的メーカーへと飛躍しました。マイクという入力側の機器で培った技術をもって作られた出力側のヘッドホンにも信頼の置けるメーカーとして信頼されています。
第二次世界大戦の頃には軍用として爆撃隊にもヘッドホンが使われ、SHUREの技術により騒音の中でも通信ができると高い評価を受けました。
YAMAHA (ヤマハ)
ピアノを代表に楽器メーカーとしての『YAMAHA』の知名度は世界クラスですが、楽器と親和性の高いオーディオ製品においてもプロから高い評価を獲得し続けています。
1976年に発売された『HP-1』はイタリア人デザイナーによって設計されたシンプルで実用的な形と非常に高い技術力の必要な『オルソダイナミック型』という発音体の採用により大人気の商品になりました。
音楽というくくりで教室やソフトウェアまで扱っていますのでYAMAHAで全てそろえることもできます。