コスパが抜群なAMD社の『Ryzenシリーズ』は、ゲーミングPCだけでなく自作PC初心者にもおすすめしたい『メモリ』です。
その中でも特に『Zen』というシリーズのマイクロアーキテクチャは、『インテルCore iシリーズ』同等の強力な処理能力を搭載し、CPUの動作クロックなどの処理能力が最大52%も向上するなど、進化を遂げています。
今回はそんなRyzenを最大限に使いこなすためのメモリの選び方と注意点を丁寧に解説していきます。おすすめの商品もランキング形式でご紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
おすすめのRyzenメモリの選び方
メモリの性能で選ぶ
Ryzen対応メモリを性能で選ぶ方法を説明していきます。メモリで一番重要視されるのは『容量』ですが、『DDR3』と『DDR4』のどちらを選ぶかも重要ですし、それ以外にも『動作クロック (周波数)』や『メモリタイミング (レイテンシ)』のスペックも確認しておく必要があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
DDR3とDDR4の違い
PC向けのメモリには『DDR3』と『DDR4』の2つの規格があり、主流は『DDR4』メモリに移行しつつあります。
2つの規格は互換性がないので選ぶ時に迷いますが、DDR4の方が低い電圧でしっかりと動作することに加え、DDR4はDDR3の2倍の速度をもつことからも、DDR4を選ぶのが無難です。ただし相当重い処理をしなければ、そこまで速さの違いは感じられないことがほとんどですので、それほど性能にこだわりがない場合は、どちらであっても構わないというのは覚えておきましょう。
メモリの動作クロック (周波数)で選ぶ
メモリの『動作クロック』の性能は、数値が高い方が高速です。動作クロックの表示は、製品仕様としてハッキリと明記されているのですぐにわかります。たとえば『DDR4-3200』や『DDR4-2133』のように規格が表記されていたり、『〇〇MHz』と周波数で表示されていたりします。
主流であるDDR4メモリでは、『DDR4-2133』、『DDR4-2400』、『DDR4-2666』の3種類が比較的入手しやすいです。
メモリタイミング (レイテンシ)で選ぶ
『メモリタイミング』とは、メモリがデータの読み書きを行う際の各動作にかかる時間のことで、『レイテンシ』とも呼ばれます。メモリの動作クロックとは逆に、メモリタイミングは数値が小さい方が高速です。
表記は『15-15-15-35』『16-18-18-36』のような数字の羅列なのでわかりにくく見えますが、最初の数値を確認しておけば問題ありません。
なぜかというと、メモリタイミングの最初の1つは『CAS Latency』といって、CL16やCL18と単独で表記されることもあり、メモリタイミングを代表する数値になっているからです。
メモリの容量で選ぶ
メモリの『容量』は、多いほどコストも高くなるので悩む方もいらっしゃると思います。ただしメモリが少ないと、メモリを大量に使うソフトのパフォーマンスが落ちたり、マルチタスクに影響が出たりする問題が発生します。
フルHD以上の動画視聴や3Dゲーミングをするなら、最低でも8GB、できれば16GBがあるといいでしょう。特別な目的がなければ、32GB以上は必要ありません。
Ryzenメモリの選ぶ際の注意点
デュアルチャネル構成で買う
Ryzenを使用するなら、メモリは『デュアルチャネル構成』がおすすめです。なぜならRyzenを使用する際は周波数だけでなく、シングルチャネル・デュアルチャネルかどうかが性能に大きく影響することがあるからです。一般的にフレームレート数は約2倍の開きがあるなど、グラフィック能力で大きな差が見てとれます。
ゲーミングPCや自作PCでは、『デュアルチャネル』で、低予算なゲーミングPCや格安自作PCでは『シングルチャネル』が使われる傾向にありますが、Ryzenを利用するならデュアル構成を選びましょう。
メモリのプロファイルを確認する
『メモリ周波数』、『メモリタイミング』、『メモリ電圧』の組み合わせのことを『プロファイル』といいます。DDR4メモリには、『SPDプロファイル』と『XMPプロファイル』という2つのプロファイルが収録されています。
SPDプロファイル
『SPDプロファイル』は、マザーボードから自動的にロードされるメモリ動作設定になっており、2133MHz~2400MHzのメモリ周波数が設定されたものです。
XMPプロファイル
『XMPプロファイル』には、メーカーが製品出荷前に行ったデフォルト設定が収録されています。BIOSからOCプロファイルを選択するだけで、メーカーで動作確認済みの高速なメモリ動作設定にできます。
メモリのヒートシンクについて
多くのメインメモリは、『メモリヒートシンク』が無くても十分な放熱ができるため、ヒートシンクは付属していません。しかしメインメモリをオーバークロックさせて動作させる場合は、メモリヒートシンクの必要性が高まります。
一般的にオーバークロックさせると、メインメモリの発熱量が大きくなり動作が不安定になるだけでなく、劣化が進みやすく故障するリスクが高まります。『メモリヒートシンク』を取り付けることで放熱効果が高まり、メインメモリの温度が上昇することを抑えることできますので、メインメモリをオーバークロックさせて動作させるなら、メモリヒートシンク付属のメモリを選ぶとよいでしょう。
第3世代Ryzenに適したメモリ速度
第2世代Ryzenまではメモリ速度は3200MHz、メモリタイミングCL14が最適でしたが、第3世代Ryzenのメモリ速度は3600MHz、メモリタイミングCL16が最適といわれています。
ポイントは、Infinity Fabricの動作クロックとメモリクロックの関係です。第1および第2世代RyzenではInfinity Fabricの動作クロックとメモリクロックが同期しており、トータルでCPUの性能向上が見込めました。
一方第3世代RyzenはDDR4-3600を超えるメモリクロックを設定すると、自動的にクロック比は1:2に切り替わり、Infinity Fabricのクロックは1800MHzで固定されるので、第3世代Ryzenにおけるメモリのクロックは『DDR4-3600』が最適といえるでしょう。