パソコンやテレビ、ゲーム機器で使用されている『HDD』。HDDは各機器にあらかじめ搭載されていますが、HDDを単体で購入して交換したり増設したりすることによって、データ容量を増やしたり、処理速度を速くしたりできます。
ひとくちにHDDと言ってもその種類や規格、容量は実にさまざま。何を選んだらいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここではHDDの種類や規格の違い、選び方のポイントについて解説したうえで、おすすめのHDDをご紹介します。初心者向けに丁寧に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもHDDとは
『HDD』は『ハードディスクドライブ』の略で、パソコンのデータを保存するための部品です。
パソコン・ネットワークディスク・ゲーム機・HDDレコーダーなどで使われており、これらの機器本体に内蔵されているHDDを『内蔵HDD』と呼びます。
また上記の機器本体の外に設置され、USBケーブルなどで接続して使用するHDDは『外付けHDD』といわれます。HDDの容量が足りなくなったり故障してしまったりした場合には、新たに HDDを購入して交換したり増設したりすることが可能です。
内蔵HDD
『内蔵HDD』は、ある程度パソコンに詳しい人向けでないと難しいでしょう。なぜならパソコン内部にあるハードディスク増設用のベイ (スペース)に、内蔵HDDを取り付ける作業が必要だからです。また内蔵HDDを取り付けた後に、HDDの設定やフォーマットも行わなければいけません。
しかし内蔵HDDは外付けHDDと比較して低価格というメリットがあります。またパソコンの本体内部に設置するため、外付けHDDと違って場所を取らず、データの読み書きが速いという利点もあるので、パソコンに精通している人であれば検討してもよいでしょう。
外付けHDD
『外付けHDD』は、初心者の人でも簡単に設定可能。外付けHDDとパソコンをUSBケーブルで接続することで、自動的に認識して使えるようになります。
パソコン電源のオンオフに連動してHDDの電源が切り替わる種類のHDDもあります。その場合は、外付けのわずらわしさもなく使えるでしょう。またポータブルタイプであれば、USBから給電できるのでコンセントが必要なく、ストレスなく使えます。
しかし据え置きタイプの外付けHDDはどうしてもスペースが占有されるので、その点がデメリットです。
おすすめの『内蔵HDD』の選び方
内蔵HDDは利用機器や必要な容量、スペックを考慮して選びましょう。
サイズで選ぶ
パソコンの場合、デスクトップかノートパソコンかで必要なサイズが異なるので注意が必要です。
デスクトップパソコンには3.5インチ
デスクトップパソコンの内蔵HDDには、3.5インチのサイズを選びましょう。一般的にデスクトップパソコンには、3.5インチの増設用のベイが搭載されています。
内蔵HDDには『IDE』と『SATA』の2種類の接続規格があります。自分のデスクトップパソコンで使われているのがどちらの規格か、仕様書やマニュアルなどで確認してからHDDを選ぶようにしてください。近年のパソコンはほとんどが『SATA』となっています。
ノートパソコン・PS4には2.5インチ
ノートパソコンおよびPS4には2.5インチの内蔵HDDを選びましょう。通常、ノートパソコンとPS4の内蔵HDDサイズは2.5インチなので、3.5インチサイズの内蔵HDDはオーバーサイズになり設置できません。
また2.5インチサイズの内蔵HDDは、高さが7mmのものと9.5mmのものがあります。薄さを追求したノートパソコンの場合、高さ7mmの内蔵HDDしか搭載できないことがありますので、購入前に厚さをチェックしておきましょう。
必要な容量で選ぶ
内蔵HDDの容量は、500GB〜10TBを超えるようなものまで、さまざまな製品があります。
高画質の写真・動画を楽しむ方は2~4TBがおすすめ
パソコンに高画質の写真や動画を保存したい場合は、2~4TBを選ぶのがおすすめです。容量としては十分ですし、容量と価格のバランスが取れているのでコストパフォーマンスに優れていると言えます。
ノートパソコンにデータを大量に保存したい場合は、2TBを選びましょう。2.5インチサイズの内蔵HDDは、3.5インチに比べて容量が少ない傾向にあります。容量が足りない場合は外付け HDDを選択するのもおすすめです。
PS4をプレイしたい方には容量160GB以上がおすすめ
PS4を交換する際には、160GB以上の容量が必要です。PS4のシステム領域として少なくとも約100GBが使用され、残りの容量でゲームのコンテンツデータを保存します。
どれくらいゲームをダウンロードするかによりますが、ライトユーザーであれば容量は1TB~2TBがおすすめ。ヘビーユーザーであれば、4TBもあれば容量を気にすることなくダウンロードできます。大容量HDDに交換することで、容量を心置きなくゲームを楽しめます。
スペックで選ぶ
用途に合わせた回転数で選ぶ
HDDの回転数には5400と7200の2種類があり、この回転数は『rpm』という単位で示されます。
動画編集など、サイズが大きいデータを頻繁に扱う場合には、7200rpmのHDDを選んだ方がよいでしょう。処理速度と転送速度が速いので、快適に動作してくれます。
一方5400rpmのHDDは、容量単価が安くて省電力という特徴があります。通常のデータ保存が目的であれば、処理速度が高速である必要はありませんので、5400rpmで十分でしょう。
キャッシュを比較する
『キャッシュ』とは、HDDに内蔵されているメモリーの容量です。キャッシュ容量が大きいほど、データの読み書きが速くなります。また性能の高いHDDほど、キャッシュ容量が大きくなる傾向があります。
しかし容量や回転数に比べて、キャッシュ容量が大きいからといって劇的に性能が上がるわけではありません。まずは容量と回転数を検討した後で、キャッシュ容量が大きいものがあればそちらを選ぶという順番がおすすめです。
インターフェイスは『SATA3.0』がおすすめ
転送速度を上げたい場合、内蔵HDDのインターフェイスは『SATA3.0』がおすすめ。インターフェイスはパソコンと内蔵HDDを繋ぐ端子を指し、現在な主流はSATAです。
SATA1.0やSATA2.0に比べて転送速度が速く、電力管理機能や省エネ機能が付加されています。SATAの各規格には互換性があり、SATA3.0の内蔵HDDを、SATA1.5のパソコンに接続して使用することも可能です。ただし転送速度は、SATA 1.5に合わせて動作するので注意してください。
選ぶ際の注意点
内蔵HDDを選ぶ際の注意点について解説します。
『2.2TBの壁』に注意しよう
OSによって、対応できる内蔵HDDが異なるので注意してください。
最近は内蔵HDDの大容量化が進んでいるので、2TB以上の大容量HDDも珍しくありません。しかし古いOSの場合、パソコンに接続しても2.2TBまでしか認識しないという事態が起こる場合があります。
せっかく大容量のHDDを増設したのに、2.2TB以上認識できないのであればもったいない話です。HDDを購入する前に、お使いのOSが対応しているかどうかを確認しましょう。
回転数は転送速度が速い7200rpm、音が静かで安い5400rpm
データの読み書きを行うスペックは回転数です。回転数の大きな7200rpmはデータの転送速度が速いので、大きなファイルサイズのデータを扱う際には最適です。しかし5400rpmに比べて値段が割高で、動作音が大きいというデメリットも。
一方5400rpmの場合は値段がリーズナブルで、静かという特徴があります。しかしデータの処理速度は7200rpmに比べて遅いので、大容量データに頻繁にアクセスする場合は向きません。データの保存用として使うのがおすすめです。
『内蔵HDD』のおすすめメーカー
内蔵HDDのおすすめメーカーについて解説します。
WESTERNDIGITAL
安定性に評判がある内蔵HDDで知られるメーカー『WESTERNDIGITAL』。個人用、ビジネスユース向けのNAS用、監視セキュリティ用など、さまざまな用途に分かれたシリーズを製造しています。
製品により保証期間は異なりますが、故障やデータ破損に備えた保証があるので安心して使えます。
Seagate
低価格なHDDで知られるメーカー『Seagate』。
内蔵HDDはコストパフォーマンスにすぐれ、個人用からゲーム用、ビジネス用までラインナップもさまざま。製品によりますが、2~5年の保証期間があるので安心です。
日立
国内を代表する大手電機メーカー『日立』。
日立製の内蔵HDDは高性能で耐久性も高いと評判ですが、価格はやや割高。それほど容量は必要ない人、または多少値段が張っても信頼できる製品を使いたいという人におすすめ。
おすすめの『外付けHDD』の選び方
外付けHDDは、使用する製品や接続方法、バックアップ機能の有無などを検討した上で選びましょう。
使用する製品に合わせて選ぶ
テレビやパソコン、パソコンでもMacなどOSによって選ぶべきHDDが異なります。お使い製品に合わせて最適なHDDを選んでください。
テレビ
録画したテレビ番組を保存するために外付けHDDを使う場合には、3.5インチサイズの『据え置き型』と2.5インチサイズの『ポータブル型』のどちらかが選べます。
『据え置き型』は大容量かつリーズナブルで、まとめて番組を録画する場合などに最適です。ただし設置スペースをとるうえに、電源にはコンセントが必要になります。
『ポータブル型』は小型なのでスペースをとらず、持ち運びが可能です。他のテレビで録画した番組を再生したい場合は、ポータブル型がおすすめ。ただし、SeeQVault対応のハードディスクではないと、他のテレビで再生できないので注意が必要です。
パソコン (据え置き型)
自宅やオフィスなど、パソコンを決まった場所で使用する場合は『据え置き型』の外付けHDDがおすすめです。据え置き型は大容量かつリーズナブルなものが多いので、ファイルサイズの大きいデータを扱う場合も安心です。
しかしコンセントからの給電が必要で、かつ本体が大きめなので設置スペースが取られます。パソコンを移動したり他の場所に持ち運んで作業をする方には向きません。
パソコン (ポータブル型)
頻繁に場所を移動してパソコンで作業をするという場合には、『ポータブル型』のHDDがおすすめです。ポータブル型はUSBケーブルから給電するので、コンセントのない場所でも使用可能。本体のサイズもコンパクトなので、持ち運びに便利です。
容量あたりの単価は据え置き型に比べると割高になります。モバイル作業に必要なデータ容量を考えたうえで選びましょう。
Mac
Macに対応している外付けHDDを選ぶ場合、接続インターフェイスには『USB』と『thunderbolt』の2種類があります。この2つのインターフェイスにはお互い互換性がないので注意が必要です。
現在はUSBが主流ですが、thunderboltは転送速度が速く容量の大きいデータを素早く保存できます。ただしWindowsパソコンでもHDDを使用する可能性があれば、USBを選択したほうが汎用性が高くて便利です。
接続方法で選ぶ
接続方法として一般的なのはUSBですが、Macの場合は特有の接続方法があります。Macを使用する場合は、用途によって適切な方法を選んでください。
USB
外付けHDDの接続方法として主流なのが『USB』。現在はUSB2.0とUSB3.0の2種類の規格が一般的です。
規格値ではUSB2.0の転送速度は480bps、対してUSB3.0は5Gbpsと、USB3.0のほうが素早くデータ転送が可能です。最近のパソコンはUSB3.0以降の規格に対応していますが、古いパソコンはUSB2.0にしか対応していない場合もありますので、注意してください。
映像や高画質な画像など、ファイルサイズの大きいデータを大量に扱う場合はUSB3.0のほうがストレスなく作業できるでしょう。転送速度にこだわらないのであれば、リーズナブルなUSB2.0がおすすめです。
thunderbolt
『thunderbolt』はMac特有の接続方法です。USBよりも転送速度が速いので、HDD内にある映像や写真などのデータを編集する場合におすすめ。
ファイルを開いたり、データの保存や書き換えをしたりする速度が速かったり、ストレスなく作業が可能です。また1つのポートで複数のHDDを使用することもできます。
一方HDDをデータ保管用として使用するのであれば、それほど高速処理の必要がないのでUSBで十分と考えられます。
容量で選ぶ
外付けHDDの容量は、500GBの小容量からTB単位の大容量までさまざまなラインアップがあります。現在使っている機器の容量よりも余裕のあるタイプを選ぶことで、快適な作業ができたり、動画やゲームなどをスムーズに楽しめるようになったりするでしょう。
テレビ録画の場合、地上デジタル放送だと1TBで約120時間の録画が可能です。写真などのデータを保存する場合は1TB、動画や高精細な写真を扱う場合は2TBが必要になるでしょう。
バックアップ機能で選ぶ
もしHDDが故障してしまって、大事なデータが失われてしまったら、損失ははかり知れません。万一に備えるなら、バックアップ機能があるHDDを使いましょう。
おすすめは、『ミラーリング機能』が搭載されているHDDです。ミラーリング機能とは、2台のHDDを使って自動的に同じデータを保存するもの。どちらか片方が故障してももう1台から復旧が可能。大切なデータが失われることがありません。
消えてしまったら困るデータをHDDに保存する場合は、バックアップのことも考えて購入しましょう。
NAS機能で選ぶ
職場や家庭などでデータを共有する場合、『NAS (ネットワークハードディスク)機能』があるHDDがおすすめ。NASとは、インターネット経由で複数の端末とデータの共有ができる機能です。
それぞれのパソコンからファイルを共有したり、外出先から動画や音楽を楽しんだりすることも可能。複数のパソコンからファイルやデータを自由に移行できるメリットもあります。オンラインストレージサービスとは異なり、月々の利用料が必要なく、サービス終了を心配する必要もありません。
選ぶ際の注意点
外付けHDDを選ぶ際には、対応OSと耐久性に注意しましょう。
対応OSを確認する
外付けHDDを選ぶ際、注意するべきは対応OSの違いです。お使いのMac、またはWindowsに対応しているHDDかを確認しましょう。
またMacとWindowsの両方でHDDを共有したい場合は、どちらにも対応可能なHDDを選ぶ必要があります。購入前に『Mac OS』・『Windows OS』対応と明記されているか確認しましょう。
接続インターフェイスがthunderbolt場合はWindowsで使用できないので、注意が必要です。
できれば24時間耐久仕様がおすすめ
テレビ録画用の外付けHDDであれば、『24時間耐久仕様』がおすすめです。
録画予約をするなら、途中で録画が途切れてしまったという事態は避けたいもの。録画用のHDDは、録画予約をしている間は動き続けています。24時間連続録画に対応できる耐久性の高い機器であれば安心して使えるでしょう。
24時間耐久仕様のHDDは、放熱性能と静音性が高く、動作音が低減されているなどの特徴も。お気に入りの番組を安心して録画できます。
『外付けHDD』のおすすめメーカー
外付けHDDのおすすめメーカーを紹介します。
BUFFALO (バッファロー)
『BUFFALO』は、パソコン用メモリ、ストレージ、ネットワークなどのパソコン周辺機器やデジタル家電の国内トップクラスメーカーです。
2019年デジタル関連機器の実売統計『BCNランキング』において『無線LAN、外付けHDD』などグループ合計で全11部門でNo.1シェアを確保しています。
I-O DATA (アイ・オー・データ)
『I-O DATA』は、その社名の示すとおり、データのやり取りを『より簡単に』『より便利に』『より安心に』『より楽しく』をポリシーに事業を展開しているパソコン、デジタル機器周辺メーカーの老舗。
独創性のあるユニークな製品づくりが特徴です。
東芝
『東芝』は日本を代表する大手電機メーカーです。電子デバイス事業としてHDDをはじめとしたストレージ、LSIの製造を行っています。
外付けHDDは500GBから6TBの大容量まで豊富にラインナップを揃え、高い信頼を得ています。