電気の力料理ができる『IHクッキングヒーター』は、その便利さゆえにガスコンロから乗り換える人が後を絶ちません。しかしIHクッキングヒーターといっても、その種類はさまざまでメーカーごとにも特徴が異なります。
今回はIHクッキングヒーターの選び方のポイントとメーカーの特徴、おすすめのIHクッキングヒーターもご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
IHクッキングヒーター選びで覚えておきたい基礎知識
IHクッキングヒーターに使えない調理器具
IHクッキングヒーターには、使えない鍋やフライパンがあるので注意が必要です。
製品の素材や鍋底の形などによっても使えるものと使えないものが決まります。使用中の鍋やフライパンがIH対応かどうか調べるには、一般財団法人『製品安全協会』の
『SGマーク』があるかどうかをチェックしましょう。SGマークがあればIHでも使えます。
高齢者や子供がいるならIHクッキングヒーターは安全機能付き
子供や力の弱い高齢の方がいる家庭では、調理器具の扱いひとつでも、危険が隣り合わせです。
そのためIHに『ロック機能』や『切り忘れ自動OFF機能』があったりすると安心です。
IHクッキングヒーターはフルフラットが便利
IHクッキングヒーターは、凹凸のない『フルフラット』が便利です。凹凸がない分汚れがサッと拭き取れ、お手入れが楽なので、常にきれいな状態を保つことができます。
IHクッキングヒーターはガラストップが便利
IHクッキングヒーターのトッププレートには、『ガラストップ』が便利です。ガラス面は非常に強くできているので、通常の調理で割れることはありません。ガラス面が汚れても簡単に落とせます。
IHクッキングヒーターの種類と特徴
IHクッキングヒーターには『ビルトイン型』と『据え置き型』、『卓上型』の3つのタイプがあります。
使用用途や、家族構成などで、どのタイプのIHクッキングヒーターを選ぶべきかが変わってきますので、まずはどのような目的で使いたいのかを考えてみましょう。
ビルトイン型IHクッキングヒーター
『ビルトイン型』のIHクッキングヒーターは、流し台・コンロ・調理台・キッチン収納などが一枚の天板で繋がった、継ぎ目のないシステムキッチンで使われます。天板の開口部からIHクッキングヒーターをはめこむことが可能です。
メリットは、すっきりした見た目です。システムキッチンと一体化しているため、天板上がフラットになっていて掃除もしやすく、きれいなキッチンを保つことができます。
逆に難点は料金が高額なところ。ビルトイン型のIHクッキングヒーターは機能性が充実していて、火力も他の2タイプより圧倒的に強くなっています。また設置は設置業者に依頼する必要があり、簡単にいかないところが難点でもありますが、使い勝手や満足度は十分あります。
据え置き型IHクッキングヒーター
『据え置き型』のIHクッキングヒーターは、コンロとシンクで切り離されているセパレートキッチンで使われ、キッチンの作業台より低くなっているところで使うのが主流です。
据え置き型のIHクッキングヒーターのよいところは、簡単に設置ができるところ。電源の差し込み口さえあれば、すぐにでも使用できます。また天板はフラットになっているので、掃除が楽にできるのも嬉しいポイントです。
一方でコンパクトに設計されたものが多く、コンロ代に置くとどうしても隙間ができてしまいます。その隙間に油汚れやごみが溜まってしまうのが難点です。しかし据え置き型のIHクッキングヒーターは自力で取り外しが可能なので、気付いた時にこまめに汚れを拭くようにすればそれほど問題はありません。
卓上型IHクッキングヒーター
『卓上型』はその名の通りテーブルの上などで使用する、持ち運びが可能なIHクッキングヒーターです。
卓上型のよいところは、ズバリ便利さでしょう。持ち運びができるほど小さいので、鍋や焼き肉などを家族や友人とテーブルで調理しながら食べられるのはとても魅力的です。温かい食事を温かいまま食べられるのは嬉しいポイントですし、掃除や収納が簡単にできるのも大きな特徴です。
卓上型の難点は、他の2タイプと比べると火力が劣るところです。卓上で一から作っていると時間がかかってしまうので、ある程度作った状態で卓上IHクッキングヒーターにうつすとよいかもしれません。
IHクッキングヒーターは3口と2口どちらがおすすめ?
IHクッキングヒーターは『3口』タイプと『2口』タイプに分かれます。家族が少なかったり、人の出入りが少なく料理を一気に作る必要がないなら、『2口』で十分でしょう。逆に3口の方が不便になるかもしれません。
家族が多かったりお客様をお招きする機会が多く、たくさんの調理を一気に作る必要がある方には『3口』コンロがおすすめです。また家族がそれほど多くなくても、朝にお弁当作りと朝食作りを並行していると、3口必要だと感じる場面もあります。3口コンロの場合はさらに『3口ともIHタイプ』と、『2口がIHで1口はラジエントヒータータイプ』の2タイプに分かれますので、用途に応じて選択する必要があります。
IHクッキングヒーターのラジエントヒーターとは?
『ラジエントヒーター』のトッププレート下には、ニクロム線を渦巻状にして埋め込んであります。このニクロム線が発熱することでトッププレートが熱せられて加熱する仕組みです。ラジエントヒーターは、IHでは使えないアルミ製の鍋や、土鍋などが使えるというメリットがあるものの、IHクッキングヒーターと比べると火力が低く、その分IHよりラジエントヒーターの方が価格も安くなっています。
おすすめのIHクッキングヒーターの選び方
1.ヒーターの口数
家族構成や使用目的に沿って口数を選びましょう。
2.使う鍋の種類
通常のIHクッキングヒーターは、『鉄』や『ステンレス』製のものしか使えませんが、今ある鍋やフライパンが銅やアルミ製の場合は『オールメタル対応』のIHクッキングヒーターにすれば、そのまま使い続けることができます。
3.トッププレートサイズ
『トッププレートサイズ』は60cmか、70cmで選べます。
調理スペースを広く確保したいなら、コンパクトタイプの『60cm』がよいでしょう。70cmはプレートが長い分、キッチンスペースは狭くなりますが、ヒーター同士の間隔が広いので鍋同士がぶつかったりしません。
大きい調理道具を使うことが多いなら『70cm』がよいでしょう。また70㎝の場合はプレートが広い分、鍋やフライパンをプレートに置いておくこともできます。
4.火力
IHクッキングヒーターは、ガスコンロと比べると火力が低いと思われがちですが実際にそんなことはなく、最新のIHクッキングヒーターは、最大火力が3.2kWあります。ガスコンロの強火は最大でも約2.5kWなので、実はIHクッキングヒーターの方が火力が強いのがおわかりいただけるかと思います。メーカーによっても火力がさまざまなので、購入前には最大火力を必ずチェックしましょう。
5.機能性
焦げ付きお知らせ機能や、温度センサー機能、音声や光で操作手順を教えてくれるものなど、メーカーによって搭載されている機能はさまざまです。IHクッキングヒーター選びで迷ったときは、機能性にも目を向けてみましょう。
6.最大火力と火力調節
先述の通り現在、IHクッキングヒーターの最大火力は3.2kWです。3.2kWもあれば野菜炒めなどの炒め物は新鮮さを保ったままシャキッと、チャーハンはパラパラっと仕上げられます。高火力であれば調理時間も短縮でき、非常に便利です。
またIHクッキングヒーターの強みは優れた『火力調整』で、ボタン一つで簡単に調整できるものが多く、揚げ物や煮込み料理も失敗がありません。ガスのとろ火は立ち消えが心配でこまめに火加減をチェックしないといけませんが、IHクッキングヒーターならとろ火もお手の物で、長時間の煮物も楽々です。タイマー機能が付いているものなら消し忘れも防止できます。
IHクッキングヒーターのおすすめメーカー
Panasonic (パナソニック)
Panasonicの強みは『おまかせビッググリル』で、オーブン感覚で焼き菓子や焼き魚なども手軽に調理できます。マイコンが焼き魚や惣菜メニューに応じて受け皿の水なし・水ありを自動判別してくれ、火力や、時間も最適にコントロールしてくれる優れものです。
また『光火力センサー』もPanasonicの強みとなっています。通常、IHクッキングヒーターからフライパンや鍋を離してしまうとエラーになったり、勝手に電源が切れたりしますが、光火力センサーは鍋底の温度を感知し設定した温度にキープしてくれます。
他にも卓上型では『鍋だし作りコース』や『味しみこみコース』が備え付けられており、鍋のだし作りでは鍋が煮立っても自動で火力をおさえて吹きこぼれを防いでくれ、煮物を作る上では、味がよくしみこみ、煮崩れしにくい煮物作りをサポートしてくれます。
卓上IHクッキングヒーターといえば運転音が気になるものも多くありますが、Panasonicは静音設計されているので、食卓で会話をしていても邪魔になりません。
東芝
東芝の強みは『適温おまかせ調理』です。これまでに料理をしていて焦がしてしまったり、生焼けだったり、余熱不足だったりしたことはありませんか。そんな失敗を回避できるのが適温おまかせ調理です。揚げ物から炒め物までメニューに合わせた火加減調節を自動でおこなってくれるので、もう料理で失敗することはありません。
またDSPコントロールダブルセラミックセンサーと、光センサーのダブルセンサーで、温度を常にチェックしています。そのためフライパンを振ったり、傾けたりしても元に戻せばすぐに火力が戻ります。
他にも卓上型では『ハイパワー1420』が備わっており、高い火力と高い熱効率により沸騰が早いので、大人数の鍋料理でも難なく楽しめます。また39mmという業界トップクラスの薄さで、鍋の中の料理が見やすく、狭いスペースにも楽に収納できることも大きな特徴です。
日立
日立の強みは『ラク旨グリル』です。上からはシーズヒーター、下からはプレート加熱によって食材を加熱します。オーブン庫内は設定した温度に保たれるので、食材にまんべんなく火を通すことで、仕上がりもきれいです。調理中に食材から出た余分な油が、底面の溝に流れ落ちるので、食材はパリッと焼き上がります。
他にも日立は操作のしやすさに定評があり、ボタン大きさや、表示などがシンプルでわかりやすく、シニア世代でも楽に操作しやすい親切設計です。シンプルだけど機能性は充実していて、火力調整もとろ火から強火まで8段階調整が可能。保温機能も3段階あり、料理に合わせて選べます。
アイリスオーヤマ
アイリスオーヤマの強みは『グリル自動調理機能』です。メニューと焼きかげんを設定するだけでおまかせ調理をしてくれるという優れもの。火力調整は強・中・弱の3段階で、タイマー設定(1分~30分)も可能です。調理が終了すると自動的に停止します。
また揚げ物モードも強みの一つです。揚げ物の難しい温度調整も6段階(150°C~200°C)で設定でき、一定の温度でカラッと仕上げてくれます。
T-fal (ティファール)の強み
T-falの強みはスタイリッシュなデザインです。デザイン性を重視するならT-falは外せません。トッププレートは、フラットなセラミックガラスを使用していて、汚れがつきにくく、調理後のお手入れが簡単にできます。また作る料理によって最適な火力になるよう設定されているので、ワンタッチで美味しい料理が出来上がり便利です。
ドリテックの強み
ドリテックの強みは、A4サイズよりも小さいIHクッカー『ピコ』です。IHクッキングヒーター自体がコンパクトなので、テーブルで場所を取りません。トッププレートは凹凸のないフラットガラストップを採用したデザインがスタイリッシュでオシャレな上、汁物などをこぼしてしまってもサッと拭き取ることが可能で、お手入れも楽にできます。
テスコムの強み
テスコムの強みは、『炊飯コース』です。IH対応鍋を使って3合まで炊飯ができます。タイマー予約もできる優れもの。煮こみコースや、揚げ物コースなど、さまざまな調理にも対応する万能IHクッキングヒーターです。
コイズミの強み
コイズミの強みは『4つのワンタッチ機能』で、カレー、煮込み、急速加熱、保温がワンタッチででき、操作方法も簡単です。トッププレートはガラストップを使っているため、高級感があり、お手入れも簡単にできるのでおすすめします。
ZOJIRUSHIの強み
ZOJIRUSHIの強みは、火力調節がしやすいところ。『弱火』『中火』『強火』をすばやくワンタッチで変更できます。火かげんキーで保温から強火まで料理にあわせて9段階の火力調整が可能です。
5つの安全機能も強みの一つで、『切り忘れ防止機能』、『鍋なし検知機能』、『小物検知機能』、ダブルセンサーによる『異常温度上昇防止機能』、誤ってひっかけてもすぐに外れる『マグネットプラグ』が装備されているので安心して使えます。
IHクッキングヒーター選びの注意点
IHクッキングヒーターを選ぶときには以下の3点に注意しましょう。
1.火力
IHクッキングヒーターの最大火力は、大きく分けると1000Wと1400Wです。もちろん1400Wの方が火力が大きく、調理を楽しむことができます。ストレスなく調理をしたければ、1400Wを選ぶべきでしょう。
2.安全機能
現在のIHクッキングヒーターでは安全機能が標準装備になっているものが多いですが、中には法律で定められている部分だけ保証しているIHコンロもあります。少なくとも『切り忘れ自動OFF』の機能があるIHクッキングヒーターを選ぶようにしましょう。
3.静音設計
IHクッキングヒーターを買ってみたら、音がうるさ過ぎて使えないなんてこともあります。そのため静音設計されているIHクッキングヒーターを選ぶのもおすすめです。