カメラやレンズなどの撮影機材は精密機械です。もし熱や湿気にさらされるとカビが生えてしまいます。そんな問題を解決してくれるのが『防湿庫』です。
この記事では防湿庫を選ぶ際のポイントや編集部厳選のおすすめ商品をご紹介します。
カメラやレンズの保管に防湿庫がおすすめの理由
日本はカビが発生しやすい
夏の高温多湿の時期はもちろんですが、冬でも家の中は結露で窓がビッショリになるほど、日本は湿度が高い国です。一般的に気温が10~35℃で湿度が60%以上になると、カビの発生率が増加します。
カメラのレンズはカビが生えやすいため湿気が多い日本ではしっかり対策しなくていはいけません。
カビを増やすことはカメラにとっても悪影響
レンズにカビが生えると撮影する写真の画質が低下します。ボディのセンサーにカビが生えると、部品が腐食して故障したり最悪の場合使えなくなってしまうことも。
1度カビが生えると高額な修理代が必要になります。また1度生えたカビは完全に除去することはできず、クリーニングをしても跡が残る恐れがあります。そのため大切なカメラを保管するには、そもそもカビを生やさないように注意するのが1番重要です。
押し入れに入れるのは危険性が高い
カメラバッグは湿気を吸うので押し入れやクローゼットに入れておくと、カメラバッグ事態にカビが発生する恐れがあります。押し入れやクローゼットでは湿気の多い場所なので防湿庫の代わりにはなりません。きちんと手入れをしたカメラはカメラバッグから出して防湿庫で保管するようにしましょう。
おすすめの防湿庫の選び方
据え置きタイプか簡易タイプかどうか
防湿庫には場所を決めて設置する『据え置きタイプ』と手軽に移動できる『簡易タイプ』があります。ある程度機材がそろっていて設置場所が確保できるのであれば、機材をしっかりと収納のできる『据え置きタイプ』の防湿庫がおすすめです。
一方カメラをはじめて購入したばかりでレンズやアクセサリーが少ない人は、『簡易タイプ』のドライボックスが価格も安いため用意しやすいでしょう。持っている機材やこれから購入する予定の機材との兼ね合いを考えて、据え置きタイプが簡易タイプのどちらにするかを決めるとよいでしょう。
重ね置きのしやすい防湿庫を選ぶ
カメラはその性質上、日の当たる場所に保管するのはおすすめしません。『簡易タイプ』の防湿庫以外はコンセントが必要なので、防湿庫は置ける場所が限られてしまいます。もし防湿庫を追加購入した際に置く場所に困らないように『重ね置きタイプ』をおすすめします。
少し大きめのサイズの防湿庫を選ぶ
防湿庫のサイズを選ぶ際は機材に対して少し大きめのサイズを選ぶようにしましょう。写真が好きで続けているとよりよいカメラやレンズが欲しくなり機材が増えていくことがあります。そのため何度も購入しなくていいように余裕をもって一回り大きなサイズを選びましょう。
防湿庫を2個購入するよりは、大きめの防湿庫を1つ購入するほうがコスパもよいので少し大きめの防湿庫を購入することをおすすめします。
収納容量の目安
『小型タイプ』の収納容量は50L以下でおよそ一眼カメラが4~5台収納できます。レンズ数本の収納ができるのでカメラをはじめたばかりのビギナー向けの防湿庫です。
『中型タイプ』の収納容量は50~120Lでおよそ一眼カメラが10~20台収納できます。比較的多くのレンズやアクセサリーを持っている中級者以上向けの防湿庫です。
『大型タイプ』の収納容量は140L以上なので、大型カメラを複数所持している方や大口径のレンズや望遠レンズを持っている方に向いています。
電子式の完全自動タイプが便利
内臓の湿度調節機能が全自動で最適な湿度を保ってくれるので電子式防湿庫が非常に便利です。コンセントが必要なこと、電気代がかかることなどがデメリットとしてあげられますが、電気代は1日あたり1~3円程度ですのでランニングコストとしてはあまりかかりません。高い機材を持っているなら電子式防湿庫を利用するのがよいでしょう。
カメラ・レンズを固定できる防湿庫を選ぶ
機材を保護するクッションやレンズを固定できるホルダーがついている防湿庫もあります。もしもの時にもカメラやレンズが破損することを防げるように、防湿庫内の機材を固定できるかどうかを確認しましょう。
湿度計がある防湿庫を選ぶ
『湿度計』が付属していることで庫内の湿度をきちんと確認できるため、より確実に湿度管理ができます。故障や停電などがあっても庫内の湿度が確認できるよう、湿度計の有無も選ぶ際の大事なポイントとなります。
湿度計は『アナログタイプ』と『デジタルタイプ』がありますが、自分で見やすいと思う湿度計を選ぶとよいでしょう。湿度計はあとから追加購入もできます。
防湿庫の適正な湿度
カビは湿度60%以上で活発に発生すると言われていますので、防湿庫内の湿度を60%以下に抑える必要があります。
ただしあまり低い湿度だと乾燥しすぎてコーティングやゴムの劣化などを引き起こし、機材を痛めてしまうことがあります。カメラの適正な管理湿度は30~50%と言われていますのでその範囲の湿度に調整することが大事です。
除湿方式で選ぶ
ペルチェ除湿方式
『ペルチェ除湿方式』は、ペルチェ素子の熱移動作用により冷却された放熱板に、庫内空気が接触することにより水分が結露します。結露した水分を吸湿剤に吸湿させ水分を庫外に放出する方式です。
常に除湿効果を持続でき運転音や振動音もないため、防湿庫の音を気にせずに使用できますが、ペルチェ素子自体の発熱量が大きいため電力効率が悪く、電力消費が増える恐れがあります。またペルチェ素子自体の寿命が短く一般的に3~5年といわれています。
乾燥剤除湿方式
乾燥剤で吸湿した水分を電気の力で庫外に放出する『乾燥剤除湿方式』。乾燥剤に吸収された水分を取り除くためには乾燥剤を熱さなくていけません。そのためには4時間~6時間ごとに約30分間の加熱が必要となります。
この時間は防湿庫から湿気を取り除くことができず、扉の開閉を行うと湿度が上昇してしまい湿度を一定に保つことが難しくなります。しかし電気効率が良く耐用年数も長いため、コスパ重視の方におすすめです。
その他の機能面をチェック
コンセントの有無
ほとんどのカメラは充電が必要なので、防湿庫にコンセントがあると非常に便利です。庫内タイプの場合コンセントをカメラ本体に直接充電器を繋ぐことができるので、防湿しながら充電できるというメリットがあります。
また庫外タイプの場合複数の充電器を充電する場合では、防湿庫の開け閉めを何度もせずに済むというメリットがあります。どちらにもメリットがありますので自分に合ったタイプのものを選ぶとよいでしょう。
機材固定用クッション
防湿庫にはトレーに置いた機材が滑らないように機材固定用クッションやマットが敷いてあるもの、レンズの形に合わせた専用マットがあるものgあります。万が一地震があった時などに備えて、機材が倒れても傷がつかないようにすることが大事です。
光触媒機構
光触媒は光を吸収して触媒作用を起こすことで表面に強力な酸化力を生みだし、カビの原因となる有害物質を除去できます。光触媒の機能を搭載する防湿庫は消臭・防菌・防カビ性能に特に優れています。
防湿庫のおすすめメーカー
東洋リビング
防湿庫のパイオニア『東洋リビング』。価格は高めですが日本製にこだわっており高性能、高品質の日本製の電子ドライユニットを使用しています。乾燥除湿方式、庫内コンセント、光触媒機構を搭載。独自の除湿ユニットにより庫内湿度を均一に保つことができます。オートクリーンドライで防湿だけでなくホコリの付着も軽減しています。
トーリハン
防湿庫のトップブランド『トーリハン』。防湿庫の種類が豊富で『エコノミー』『プレミアム』『薄型』『業務用』の防湿庫を取り扱っています。乾燥剤除湿方式で庫外コンセント、光触媒機構を搭載。アナログデュアル湿度計を搭載したドライキャビネットです。
ハクバ
『ハクバ』はカメラのアクセサリーを製造、販売している企業ですが、防湿庫も販売しています。乾燥除湿方式の防湿庫とドライボックスを取り扱っています。乾燥除湿方式の防湿庫は回部コンセントや光触媒機構などはついていません。ドライボックスは持ち運びができ価格も安いのではじめて購入される方におすすめです。
IDEX
ペルチェ除湿方式の防湿庫が有名な『IDEX』。コンセントや光触媒などの機能はありません。価格を抑えるために店頭販売はおこなっておらず、ネット通販のみとなります。保証期間が3年間と長い期間にしてくれているので安心です。
HOKUTO
ペルチェ除湿方式の防湿庫を主に取り扱っている『HOKUTO』。コンパクトで価格が安いものから大容量でスタイリッシュなものまであります。コンセントをさすだけで安定した湿度を保ってくれるので設置や操作が簡単です。
Re:CLEAN
『Re:CLEAN』はリーズナブルで性能の高い防湿庫を製造しています。湿度計は信頼度の高い超高精度のアナログ湿度計を使用しており、ペルチェ除湿方式と乾燥除湿方式の2種類の防湿庫を販売しています。
カギ付きなので小さいお子さんがいるお家は子供のイタズラからカメラを保護できます。保証が5年間あるというのも安心です。