健康に良いオイルと話題の『えごま油』。実は健康だけでなく美容やダイエット効果も期待できる食品です。小さじ1杯で1日分が摂れるので、手軽に続けられるのもメリット。味わいも良く、料理に加えるとコクやまろやかさが出て美味しいです。
今回はそんな『えごま油』について解説していきます。特徴や効能、おすすめ商品など詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
えごま油とは
『えごま油』とはえごまの種子から搾った一番搾りの油のこと。日本では『しそ油』とも呼ばれています。匂いや味がしないのが特徴で、健康に良い効果がある食品です。
えごま油の最大のメリットは『α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)』の含有量が豊富である点。必須脂肪酸のα-リノレン酸は、摂取するとDHAやEPAに変換される栄養成分です。α-リノレン酸は人間の体では作れません。毎日の食事で積極的に摂取するのをおすすめします。
えごま油のおすすめポイント
血流改善や老化予防
えごま油はα-リノレン酸が豊富。α-リノレン酸はDHAやEPAに変わり、血液をサラサラにする効果があります。血流が悪いとしっかり栄養を運べません。体中にきれいな血液が巡ることにより、健康的な体が維持されます。
またコラーゲンが生成され肌の水分量が増加します。ハリやシワの改善が期待でき、老化の予防には欠かせない成分です。コラーゲンは人体を構成しているタンパク質のひとつで、血管や骨などにも影響を与えます。積極的に摂取して健康な体を目指しましょう。
料理のまろやかさやコクを出す
えごま油にはシソや、えごまの葉にあるような香りや味はありません。とくに高品質のえごま油は料理にまろやかさとコクをつけたいときにピッタリです。加熱には向いておらず、ドレッシングなどにそのまま使うのがおすすめ。カルパッチョやマリネにかけても美味しいですよ。
サラダや卵かけご飯などに、小さじ一杯を加えてみてはいかがでしょうか。生のままで使用するので品質の良いえごま油を選びましょう。いつものメニューがひと味変わります。
ダイエット効果
えごま油に含まれるα-リノレン酸は、代謝を活発にし脂肪を燃やす効果があります。中性脂肪に合成されず、皮下脂肪や内臓脂肪を燃焼。血液がサラサラになり、基礎代謝を上げて痩せやすくします。
食事制限や無理な運動をしなくても、自然にダイエット効果が期待できます。今までダイエットが続かなかった人におすすめです。とはいえ、たくさん摂取すればダイエット効果が高まるわけではありません。1日にスプーン小さじ1杯分を守って摂取するようにしてください。
抗アレルギー効果
えごま油は抗アレルギー効果も期待できる食品です。通常の油にはリノール酸が含まれていて、アレルギーの原因の1つとされています。リノール酸はサラダ油やマヨネーズなどに含まれている成分。毎日の食事で全く摂らないというわけにはいきません。
リノール酸も人間の体内では生成できないため、適量を摂取する必要があります。そのリノール酸と正反対の働きをするのがαリノレン酸で、えごま油に多く含まれている成分になります。大切なのはバランスの良い食事の取り方。αリノレン酸を手軽に摂れるえごま油を上手に活用しましょう。
えごま油のおすすめの選び方
精製方法で選ぶ
圧搾法
昔ながらの精製方法です。油圧機を使用して圧をかけることにより、油を搾り出します。
圧搾法のなかでも時間と手間をかけて精製する方法が『玉締め法』です。抽出法のようにえごまを粉々に砕かないので、高品質の油が抽出できます。搾油量は少なく価格も高めです。
もう1つの方法は『エキスペラー』と呼ばれる精製方法。スクリュー式の搾油機で、スクリューを回転し遠心力を利用して搾油します。連続圧搾ができるのが良い点。原料の投入や搾りかすの排出も自動的に行います。大量に搾油できる方法です。
低温圧搾法(コールドプレス)
低温圧搾法は最も主流の精製方法です。加熱式搾油は通常60〜210℃の高熱で油を分離させてから圧搾。この方法だとα-リノレン酸は熱に弱いので、ダメージを受けてしまいます。そこで開発されたのがこの低温圧搾法です。えごま種子に40℃程度の熱を加えて乾燥。その後圧力をかけて搾油するため、栄養成分の減少がかなり抑えられます。
低温圧搾法はオイルを搾るのに時間がかかるのが特徴。しかし出来上がったオイルは風味が良く栄養価も高くなります。
非加熱搾油法(生搾り)
非加熱搾油(生搾り)はえごま種子に熱を加えず生のまま圧力をかけて搾る方法です。新鮮な状態のまま、えごま油を搾油します。非加熱搾油の場合も分離が必要です。分離しやすくするために水分量を低くして圧搾。この方法は加熱のように大量の油が搾れません。じんわりと抽出するので時間が長くかかります。
そのため価格が低温圧搾法のものより高いのが特徴。しかしフレッシュな味わいになります。えごま油の品質にこだわる人は、非加熱搾油法のものがおすすめです。
抽出法
抽出法は油を溶かす有機溶剤を使用し、油を抽出します。メリットは効率よく種子から油を分離させられる点。油分をほぼ完全に抽出できます。デメリットは栄養素が破壊されてしまうこと。有機溶剤を除去する過程で熱が発生するからです。
搾油方法でえごま油の成分内容は大きく変わってしまいます。購入の際は搾油方法が明確に表記されたえごま油を選びましょう。中には表記されていないものもあるので注意が必要です。
α-リノレン酸の含有率で選ぶ
えごま油は健康に良いとされるオイル。『α-リノレン酸』がたっぷり含まれています。α-リノレン酸の量は商品によって違いがあるので、なるべくα-リノレン酸が多く含まれている商品がおすすめです。
えごま油のα-リノレン酸の含有率は60%程度。1日に必要なα-リノレン酸の量は約2g程度です。スプーン1杯(約5g)で1日分の必要量が摂取できます。効率的にα-リノレン酸を摂取するには、含有率60%を目安に選ぶようにしましょう。
遮光容器かどうかで選ぶ
えごま油は熱に弱く酸化しやすい油です。購入の際は製造方法や品質だけでなく、遮光容器に入っているかもチェックしましょう。直射日光や照明灯の熱でも劣化が進んでしまいます。遮光容器のものなら品質が保てるので安心です。
透明な瓶の場合は冷暗所に置くと品質が保持できます。プラスチックの容器は化学反応を起こす心配があります。熱により油に化学成分が溶けると体に良くありません。なるべく遮光瓶に入ったえごま油を選ぶようにしましょう。
量で選ぶ
えごま油は酸化しやすいデリケートな油。開封してから1~2ヶ月が過ぎると酸化してしまいます。酸化してしまうと風味を損ない味が落ちます。食べきれる量のえごま油を選びましょう。開封したら冷蔵庫に保管し、早めに使い切るのが重要です。
たまに使う方やひとり暮らしの方は、パック入りの個包装タイプがおすすめ。1パック3g程度なので1回で使いきれます。酸化を心配することなく、いつでも新鮮なえごま油を摂取できます。
産地で選ぶ
えごまは品質に注意が必要な食品です。国産品だから安心とはいえません。生産者や産地などがはっきりわかったえごま油を購入しましょう。
えごまの実は畑や土、品種によって違いがあります。その土地によって味の違いを楽しむのも良いでしょう。一般的に国産品のものは食べやすいものが多いです。風味がよく、さわやかな味わいが楽しめます。輸入品では韓国や中国のものが有名。香ばしい風味があり、お土産でも喜ばれます。
栽培法で選ぶ
無農薬栽培
無農薬栽培とは、生産期間中に全く農薬を使用しない栽培方法のことです。実際には土壌に農薬が残っている場合もあります。農産物に農薬が100パーセント入っていないということを認定する機関はありません。そのため消費者が誤解をしないように、平成16年以降は『無農薬』と表示することが禁止されています。
『無農薬』の代わりに『特別栽培』として表示されるようになりました。農薬をまったく使用しない場合は『農薬:栽培期間中不使用』となります。農薬を使わないえごま油を選ぶときは、『特別栽培』の表記があるものを選びましょう。
有機栽培
有機栽培で作られたえごまは化学肥料や農薬を使用していません。2年以上経過した健康な土が必要なため、肥料などを使って土づくりを行うことから始まります。国で定められた基準(有機JAS規格)を満たさないと『有機農産物』とは認められません。
有機栽培にこだわってえごま油を選ぶときは、有機認定をされているかチェックしましょう。明確な基準があり、それに基づいて生産していることを示すからです。国で定めた基準を満たしているので、安心して選べます。
えごま油のおすすめメーカー
太田油脂
明治35年に創業した老舗の油メーカーです。磨き上げられた技術で、こだわりの油を生産しています。えごま油だけでなく、塗装用油など幅広い商品も展開。自然の素材を活かした安全な商品を提供しています。
朝日
もともとは寒天のメーカーだった会社で、現在の主力商品はえごま油です。通信販売に力を入れており定期コースなどで販売中。他にもオリーブオイルやワインなどもあります。
紅花食品
えごま油や亜麻仁油を生産販売しているメーカーです。国内だけでなく海外にも生産工場を展開。ニュージーランドの農場と契約しています。健康食品も多彩なラインナップがあり、カプセルタイプのえごま油も販売中です。
えごま油の注意点
発泡ポリスチレンの容器を変質させる効果
カップ麺などの容器に直接えごま油を入れるのは避けましょう。なぜなら穴が開いてしまうおそれがあるからです。原因としてえごま油は発泡ポリスチレンの容器を変質させることが挙げられます。
えごま油だから特別にそうなるとは言えません。他の油でも同じ事例が考えられます。熱いお湯に油を注ぐと跳ねてとても危険です。やけどをすると大変なので、別の容器に移してから食べましょう。
酸化した油は健康に害も
酸化した油は健康に害を与えるおそれがあります。健康オイルとして名高いえごま油ですが、酸化しやすいのが特徴。保管や調理法に注意しないといけません。酸化していることに気づかない場合もあるからです。
酸化した油は有害な『過酸化脂質』へと変化。体内に吸収されると動脈硬化や認知症の原因になるのが明らかになっています。それを避けるには冷暗所での保管が必要。調理の際は加熱をせずに、開封したら早めに使うのも重要です。