自宅に庭がないからといって、植物の栽培や家庭菜園をあきらめる必要はありません。庭や畑がなくてもマンションのベランダやテラスなどの狭いスペースがあれば、『プランター』を使って植物が育てられます。プランターの種類はカラー・デザイン・素材など種類もさまざまです。
初心者はプランターの種類ごとに特徴を理解して、育てたい植物や置き場所に合ったタイプを選ぶと良いでしょう。初めての人でも育てやすい植物の種類・プランターの特徴・選び方とともに、おすすめのプランター商品を紹介します。
プランターとは
『プランター』とはプラスチックや陶器などで作られた容器のことで、植物を育てるために使います。同じように植物を育てる容器には鉢もあり、プランターと鉢の違いについては明確な決まりがありません。お店によってはそれぞれ区別せずに販売している場合もあります。
一般的には観葉植物や1種類の植物を育てるのが小さめのタイプが鉢、寄せ植えできるような横に長くサイズも大きめのものをプランターと呼ばれ、野菜を育てるような家庭菜園ではプランターが用いられます。
プランターのおすすめポイント
『プランター』のおすすめポイントは、マンションのベランダなど狭いスペースを活用して置ける点や、ベランダに出るだけで植物の管理ができる点です。野菜を育てるために畑を契約している人もいますが、畑での野菜の栽培は天候などに左右されるため栽培には手間がかかります。
プランターならば天候に関係なく、いつでも気になるときに植物のチェックや移動が可能です。またベランダのない人でも、窓辺などに置けば育てられるのでプランター栽培にチャレンジしてみましょう。
移動しやすい
庭や畑での栽培は、台風や強風などが起きても移動できませんが、プランターならば屋内などの天候被害を受けない場所への移動できます。直射日光が苦手な種類や生長期によって日照時間が多く必要な種類を栽培する場合にも、プランターを移動して日差しの強さや日照時間を比較的自由に変えられる点も魅力です。
また移動できることで、肥料やり・土の入れ替え・収穫・水やりなどのガーデニング作業も行いやすくなる点もメリットです。
土や肥料の管理が簡単
プランターでの植物を育てるために必要不可欠な土は、植物が根を張り生長するための栄養分を吸収する土台となるものです。土は植物の種類によっても向き・不向きがありますが、プランターを使えば土ごとに適した種類の植物を植えられるため管理が簡単に行えます。
プランターの土は容量が決まっており、プランターの大きさに対して適量の肥料を与えれば野菜にしっかりと栄養がいきわたります。また野菜などを収穫して新しい植物を植えるときには、土の入れ替えをプランターごとに行えるので簡単です。
プランターのおすすめの選び方
プランターはサイズ・デザイン・素材・機能性などの特徴別に、いくつもの種類があります。最初にプランターの置き場所を決めて、スペースに入るサイズを決めておきましょう。育てたい植物によっても必要なプランターのサイズは異なるので、わからない場合には園芸センターや購入するお店の人に聞いてみるのもひとつの方法です。
鉢の大きさは号サイズで表示されますが、プランターのサイズは幅×奥行×高さによって表示されることが多いです。サイズを決めたら、次に好みのデザインや素材の性質などから選びましょう。
育てる植物で選ぶ
収穫してサラダなどの料理にそのまま使える野菜や、ベランダを華やかに彩る寄せ植えなど、さまざまな方法で楽しめるプランター栽培では、手軽に栽培・収穫できる野菜が特に人気がです。植物は高く生長するタイプ・土中で実をつけるタイプ・横に広がりながら生長するタイプなど品種ごとに特徴が異なります
適切なサイズのプランターを選べば、植物が元気に生長し収穫も楽しめるでしょう。土を入れたプランターは見た目以上に重量があるので、雨風に弱く梅雨や天候によって移動しなくてはならない植物を育てるときには、サイズがあまり大きくないものを選ぶのがおすすめです。
トマトなどの果菜類
トマトなどの果菜類はいろいろな食べ方ができ、プランター栽培では人気の種類で、根が横や下などに伸びていきます。また生長すると、高さも出てくるので幅・奥行・深さともに30cm以上あるものを選びましょう。高く生長すると支柱を使う必要が出てくるので、支柱穴が付いていると便利です。
主に使われるデザインは丸型や正方形で、プランターの容量が大きいほどに植物が大きく育ち収穫量も増えます。スペースにゆとりがある人やたくさん収穫したい人は、大きめサイズのプランターを選ぶと良いでしょう。
リーフレタスなどの葉菜類
葉や形がさまざまなリーフレタスなどの葉菜類は、雨風に弱い品種なので移動が簡単なプランター栽培が最適です。生長するにつれて葉がぐんぐんと横に広がり、葉が混み合うと生長不良を起こすので、育てる株の数・品種に合った幅が長くて表面積が広いものがおすすめです。
根はトマトなどの種類よりも深く伸びませんが、浅いと根が底にあたって生長不良を起こしてしまうので深さ25cm以上を選びましょう。芽が出て苗が小さいうちは雨風によって苗がダメになってしまうため、天候に合わせて雨風が当たらない場所に移動する必要があります。
ニンジンなどの根菜類
ニンジンなどの根菜類は、土中にできた根・茎・球根などを食べる種類の植物です。土中の奥深くで生長していくためプランター栽培はできないと思われがちですが、ミニニンジン・ミニダイコン・ラディッシュなどの小型品種などであれば、トマトなどの果菜類を育てるとき同じように、深さ30cm以上の深さでも十分に栽培できます。
幅の長いほうが大きな実を収穫できるので、育てる根菜類の品種に合わせて幅を選ぶことも重要なポイントです。
プランターの素材で選ぶ
プランターの素材は、『プラスチック』・『陶器』・『木材』・『金属』・『不織布』・『グラスファイバー』など種類が豊富にあります。素材によっても保水性・排水性・耐久性・通気性といった特性が異なるので、育てる植物の性質に合ったものを選びましょう。
ホームセンターなどでよく見かけるプランターの素材は、『プラスチック』・『素焼き』・『木材』・『金属』の4タイプです。プランター栽培をこれから始める人は、まずこの4タイプの特性を理解しておくと良いでしょう。
プラスチック製のプランター
『プラスチック製』は保水性が高くリーズナブルな価格から、多くのガーデニングショップで取り扱われており、デザイン・サイズともに豊富なラインナップが特徴です。直射日光が当たる場所に長期間放置していると、劣化や退色・変色の原因になるので置き場所には気をつけましょう。
軽量なプラスチック製は土を入れても重たくなりにくく、土の入れ替えなどの移動も手軽にできます。また風などで倒れても、割れにくい特性もあります。ただし排水性が低く、プランター内が高温多湿になりやすいため、植物が根腐れを起こすこともあるので注意して観察しましょう。
素焼きのプランター
『素焼き』は粘土を高温で焼くことによって表面にいくつもの小さな穴が空いています。通気性・吸水性・排水性に優れているのが特徴です。穴から水分が蒸発し、鉢内の温度が上昇するのを抑える働きもあるため、根腐れを起こしにくく、乾燥を好む植物だけでなくいろいろな植物に使えます。
重さがあるので風で倒れにくいですが、倒れると割れやすいため移動の必要ない場所や強い風が当たらない場所に置久野がおすすめです。素焼き表面の小さな穴には、雑菌が入り込みやすいので植物が病気になってしまった場合には捨てましょう。
木製のプランター
『木製』のプランターは木自体が持つ吸湿性によって、プランター内での根腐れを予防できます。熱を通しにくい特性もあるため、ベランダなどのコンクリートの上に置いても蒸れにくい点も特徴です。乾燥に弱い植物や高温が苦手な植物にぴったりの素材です。
ナチュラルなデザインのものが多く、見た目にもこだわりたい人にも向いています。木製プランターは、土の湿気や雨などで水分を吸収した状態が続くと腐ってしまうので、植え替えのときなどのタイミングできれいに洗って、しっかりと乾燥させましょう。
金属製のプランター
おしゃれなデザインで、ベランダをセンスアップしながら植物の栽培を楽しみ人には『金属製』がおすすめです。さまざまな素材のなかでも、保水性はトップクラス。金属の性質上、熱が伝わりやすく外気温の影響を受けやすいので、植物の特性に合わせて使うと良いでしょう。耐久性は高いですが、傷をつけるとサビや劣化の原因となるので注意が必要です。
金属製のプランターは、プラスチックタイプのカバーとしても使えるので、ベランダのインテリアとしても楽しめます。
プランターの色で選ぶ
プランターには、ホワイト・グリーン・ブラック・グレーなどカラー展開が豊富です。ベランダに複数置く場合にはプランターの色を統一すると、植物の種類が違っても統一感のあるまとまった印象になります。
一般的には、ブラック・モスグリーン・チャコールブラウンなどのダークカラーのほうが植物の色を引き立てるといわれています。またベランダのタイルや壁・植物の花などの色との相性をみながら選んでみましょう。
プランターの排水のしやすさで選ぶ
水やりをしたあとに余分な水分がプランター内に残っていると、内部の土に湿気が溜まって根腐れを起こし、最悪の場合には枯れてしまうこともあるので注意しなくてはなりません。排水性の高いプランターには、排水用穴と底面にスノコがあるタイプのものです。
排水穴は底面にあるタイプと側面にあるタイプがあり、どちらも排水効果はあまり変わりませんが、害虫が侵入しにくい側面タイプのほうがおすすめです。スノコは鉢底と土の間に空間を作って、排水を良くする役割があります。
支柱穴つきかどうかで選ぶ
トマト・ナス・キュウリなど生長して高くなる種類や、巻きついて生長するツル科の植物を育てる場合には支柱が必要です。支柱は高さがあり倒れやすいので、しっかりと鉢に固定しておきましょう。プラスチック製のプランターならば、支柱を挿して固定できる支柱穴つきの商品が多く販売されているのでおすすめです。
支柱穴がない場合には、支柱ホルダーなどの留め具や紐などを使って固定して倒れないように工夫しましょう。
底面給水式かどうかで選ぶ
水やりを忘れがちな人や葉が水を嫌う種類の植物を育てる場合には、底面給水式プランターを選びましょう。底面給水式とは、下から水を与えて植物が自然に水を吸い上げる方法のことです。プランターの底に貯水できるタンクのようなものが設置されており、そこに水を入れておけば、毎日水やりする必要がありません。
水の与えすぎや水枯れの心配もなく、植物の世話の手間が省けます。プラスチック製の商品に多く、数日間水やりしなくていいので旅行などにも便利です。
虫よけネットセットと併用できるかどうかで選ぶ
害虫は植物の葉などを食べるだけでなく病気の原因になるので、なるべく害虫を余生つけないことが大切です。虫よけネットを使用すれば、植物への害虫侵入の防止に役立ちます。虫よけネットは単品でも販売されていますが、使っているプランターのサイズやデザインによっては取り付けられない場合もあるのでサイズを確認しましょう。
また初心者は、虫よけネットがプランターにあらかじめセットで販売されている商品がおすすめです。ほとんどのセット販売には支柱もついており、支柱にネットをセットするだけで簡単にネットが張れます。