広い会場でのコンサートや演劇、そしてスポーツ観戦や星空の観測など、『双眼鏡』はあらゆるシーンで活用できるアイテムです。今や双眼鏡も高性能なものが多く、選び方に迷ってしまう人も少なくありません。
そこで今回は、双眼鏡の機能面における基礎知識や選び方、そしておすすめ商品などを紹介していきます。
これだけは押さえておきたい双眼鏡のおすすめ基礎知識
双眼鏡をさまざまなシーンで活用するためには、まずどのような機能があるか把握する必要があります。双眼鏡の基礎知識として、いくつかポイントを挙げて解説していきます。
倍率
双眼鏡を選ぶ際に、意識すべき点が『倍率』です。双眼鏡における倍率とは、肉眼で見ることに対して、どれくらいの割合で大きくなるかを表している数字になります。
さまざまな倍率の商品がありますが、例として5倍の場合、500m先にある物を100m先にあるくらいの大きさで確認することが可能です。
何に双眼鏡を使用するかによりますが、あまり遠くにない物を倍率の高い商品で見た場合、逆に見にくくなるケースもあるため注意してください。
口径 (対物レンズの有効怪)
『口径』とは、目でのぞいている側とは反対にあるレンズを意味しています。口径が大きい方が光を集めることができるため、分解能が高く、視認性も良いです。
口径が大きいと双眼鏡自体のサイズも大きくなることは避けられないため、どういったシーンで使いたいかをきちんと考えて商品選択をしてください。
見たい物をしっかりと確認できる双眼鏡選びには、先ほどの倍率と口径のバランスを意識することが大切です。
実視界と見掛け視界
『実視界』とは、双眼鏡をのぞいたときに動かすことなく見れる範囲を表している数値です。
一方で『見掛け視界』とは、実視界に倍率をかけた物を意味しており、肉眼で見た際に6度となる場合、倍率4倍のレンズを使っている双眼鏡では見掛け視界が24度になります。
そのため肉眼よりも広範囲を見ることができ、一般的に見掛け視界が60度を超えてくると、『広視界型』の双眼鏡に分類されます。
アイレリーフ
『アイレリーフ』とは接眼レンズからひとみのできる位置までの距離を意味する言葉です。
特にアイレリーフを意識しなければいけないのは、メガネをしたまま双眼鏡を使用する人で、アイレリーフが長いほど視野を広く確保できるため目が疲れにくく、長い時間の使用に適しています。
メガネをかけたまま双眼鏡を使用する場合、アイレリーフは15mm以上がおすすめといわれているため、選ぶ際の参考にしてみてください。
コーティング
双眼鏡のレンズに使用されている素材は、『光学ガラス』といわれるもので、反射によっておよそ4%の光が失われます。
つまり双眼鏡を使うことで明るさが失われ、肉眼で見るよりも暗くなるため鮮明に捉えることができません。そんな双眼鏡のウィークポイントといえる暗さを改善するために、うまれたのがレンズの『コーティング』です。
レンズの表面に薄い膜をつけることで、光の透過率を向上させ明るくする技術となり、肉眼でもレンズが緑色に見える物はコーティングがされている双眼鏡となります。
単層コート
『単層コート』とは、レンズにある膜が1枚のシンプルなコーティングがされているもので、コーティングがない双眼鏡と比較すると明るく見れます。しかし単層コートの場合光の反射を防げる色は限られるため、コーティングとしては不完全といえる商品です。
特定の色の反射を防ぐといった意味合いで捉えるのが正しく、決して高性能な双眼鏡とはいえませんが、価格帯は手が出しやすい商品が揃っています。
マルチコート
一方で『マルチコート』とは、単層コートと異なり複数枚レンズに膜を使っているため、数種類の色を光の反射から防げます。
一般的にマルチコートとは3層で構成されているものを指しており、緑色に反射します。高級な双眼鏡になるほどマルチコートの性能も向上し、コーティングされている層は5枚や7枚となり、さまざまな光の反射を防ぐことが可能です。
膜の数や、どのようなコーティングを施しているかで見え方は違うため、自分好みにコーティングされたレンズの双眼鏡を探してみてください。
おすすめの双眼鏡のタイプ
ここまでで、双眼鏡と一口にいってもさまざまな機能があり、商品によって大きく異なってくることがわかります。そして知識として知っておきたいのが双眼鏡には大きく分けて2つのタイプがあることです。
ここからは、それぞれのタイプの特徴を説明し、どのような違いがあるかを紹介していきます。
ポロプリズム
『ポロプリズム』は、双眼鏡のなかでも伝統的なフォルムで、その歴史は古く19世紀の中頃に、イタリア人のポロによって発明されたタイプです。通称『ポロ式』といわれており光学性能に優れていて、対物レンズの間隔も広く取れるため立体感が楽しめます。
ポロプリズムの双眼鏡は、すべての反射面が全反射をするため光を十分に集めることができ、加工がしやすいです。機能面は優れていますが、光の屈折が必要となるため双眼鏡自体が2段構造のような形であることから、サイズが大きくなります。
ダハプリズム
ポロプリズムと比較される双眼鏡のタイプが、『ダハプリズム』です。ダハプリズムとはドイツ語で屋根を意味しており、ポロプリズムと違い接眼レンズと対物レンズまでは平行となり直線上に配置されています。
光の屈折を行わないため双眼鏡自体はコンパクトなデザインとなり、スマートな見た目の商品が多いです。
反射面においての光の損失を起こさないために、高度な技術を必要とすることから、ダハプリズムはポロプリズムに比べて高価な点も一つの特徴です。
おすすめの双眼鏡の選び方
双眼鏡を選ぶとき、どのような点を意識して選べば良いか悩んでしまう人も少なくありません。ここからは、双眼鏡選びにおいて重要な点をいくつか挙げて紹介していきます。
携帯性で選ぶ
双眼鏡を選ぶ際に、機能面やデザインなどこだわりたい部分は人によって異なります。しかし持ち歩くことを考えると『携帯性』も重要な要素です。カバンなどに入れるときだけでなく、そもそも使用するときに双眼鏡が重いと腕が疲れてしまうため使い勝手が悪いです。
双眼鏡は300g以下であれば『軽量タイプ』といえる種類に該当するため、商品選びをするときの参考にしてみてください。
防水性能で選ぶ
双眼鏡をアウトドアやレジャーで使用する場合、重要な性能が『防水性』です。双眼鏡も内部に水が侵入すると故障する可能性があります。
しかし防水機能がある双眼鏡の場合、本体内部に水が入りにくいため故障を防げるうえ、レンズにも撥水機能が付帯されているものが多く、雨でも視認物を的確に捉えられます。また汚れた場合でも水で洗えるため手入れも簡単です。
調節機能の有無で選ぶ
良い双眼鏡を選ぶには、調節機能があるかが重要なポイントとなります。どのような調節機能があれば、便利に活用できるか知っておくことも双眼鏡選びには大切です。
知らないまま購入すると、使いにくさを感じてしまうため注意してください。
ピント調節
良い商品を購入するにあたって、『ピント調節』ができないモデルがあるので注意が必要です。最近では『オートフォーカス』や、『フリーフォーカス』といった機能を備えている双眼鏡が販売されていますが、これらはピント調節ができません。
必ず双眼鏡を購入する際は、『ピント調節リング』が備わっている商品を選ぶことが大切です。
目の幅調節
人それぞれ左右の『目の幅』は異なるため、調節できる機能がなければ使い勝手は悪くなります。双眼鏡を覗き込んだ際、目の幅とレンズがあっていないければ綺麗に視認できません。
最も自分の目の幅に合っていると、覗き込んだ先は一つの円になっています。二つの円が合わさっているように見えてしまうため視認性が悪いです。
視度調節
人間は左目と右目の視力は異なる場合はほとんどです。そのため視力に合わせて双眼鏡のレンズを調節できなければ、鮮明に物を見ることはできません。
双眼鏡には『視度調節リング』といわれるものがついていて、調節することで焦点が合わない状態を防いでくれます。視力に自信がある人でも、左右の目の見え方は違うため備えておくべき機能の1つです。
用途に応じて選ぶ
双眼鏡を購入するにあたり、使用するシーンを意識して商品選びをすることが大切です。
自分がどの場面で双眼鏡を使いたいか、購入する前にピックアップしてください。
双眼鏡を使用することが想定されるシーンをみていきます。
スポーツ観戦
双眼鏡を使用するシーンとして代表的なものがスポーツ観戦です。野球やサッカー、さらにテニスやラグビーなど、ここ最近ではスポーツ熱も高まっており、注目選手を見るために双眼鏡を購入する人も多くいます。
スポーツによって屋外や屋内など、プレーする場所が異なるだけでなく、広範囲に及ぶものや狭いエリアで行われるものなどがあるため、どの競技を観戦する際に使うかによって商品選びも変わってきます。
コンサート
大きな会場で行われるコンサートで、双眼鏡は必須アイテムといえます。コンサートは屋内で行われることが多く、照明があるとはいえ暗いことが想定されるため、明るさを確保できる商品を選ぶことがおすすめです。
また明るさだけでなく持ち運びやすさも考慮すると、コンパクトなタイプが最適といえます。コンサートにおいて多くの人が選ぶのは3倍から8倍の倍率のもので、口径が小さい双眼鏡です。
バードウォッチング
バードウォッチングを行うにあたり、双眼鏡は欠かせません。野鳥は警戒心が強いため、できる限り遠くからきちんと観察できる機能を持っているものを選ぶことがおすすめです。
そして高性能でありながら持ち運びがしやすいコンパクトタイプがバードウォッチングには適しています。見掛け視界についても、野鳥を追うには広範囲となる双眼鏡を選んだ方が観察しやすいです。
星見など天体観測
星空を眺めたり、数年に1度の流星群や惑星の接近など、大きなニュースにもなることがある天体観測で双眼鏡は大活躍します。まず天体観測をする際は暗い場所で行うため、光を集約する力に優れている双眼鏡を選んだ方が良いでしょう。
販売されている商品には、星空を眺めることに特化しているものがあるため、購入の際はぜひチェックしてみてください。
美術鑑賞・観劇
美術鑑賞や、舞台観劇においても双眼鏡は活躍します。今や美術鑑賞は流行にもなっているため、双眼鏡を購入する人も多いです。
美術品を見る場合、繊細に物を捉えることが可能なマクロ観察機能を搭載している双眼鏡がおすすめです。上部にある物を眺めたり、舞台観劇においても長時間使用することを考えると、軽量タイプの双眼鏡を選ぶことも忘れてはいけません。
旅行・アウトドア
旅行やアウトドアでも双眼鏡は活用されています。旅行時には観光スポットの建造物を観察する際に使えますし、アウトドアで使う場合は、上記にあったように防水性に優れているモデルや、耐久性のあるものを選ぶと活躍してくれます。
双眼鏡のなかには、水深1mの水の中に数分つけていても故障しない商品もあるため、海や川などのレジャーにおいても使えます。
明るさや倍率などより、いかに丈夫な双眼鏡であるかを意識して選ぶことがおすすめです。