自動車を保有している人なら必ず使用したことのある『エンジンオイル』ですが、実際にどのような役割があるのかご存知ですか。どの製品を選んだらよいのかわからず、お任せしている場合がほとんどではないでしょうか。
自分の車に合った製品ではない場合もありますので、その役割と選び方・注意点を知っておくことが大切です。適切なエンジンオイルを選択することで燃費向上につながり、車を長く使えるようになります。
この記事では、エンジンオイルのおすすめポイントや選び方について解説していきます。おすすめ商品についてもご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
エンジンオイルのおすすめポイント
金属と金属の摩擦を防ぐ
最近は電気自動車が少しずつ普及していますが、まだまだエンジンが搭載された車両が主流です。自動車を動かすためにはエンジンを駆動させる必要があり、駆動する際には金属同士が接触しながら動きます。
その境界部分では常に摩擦が発生しているため、時間が経つと金属同士の摩擦によって摩耗してしまい、適切な能力を発揮できなくなってしまいます。エンジンオイルはこの摩耗を防ぐ役割を持っています。
金属が高熱化するのを防ぐ
金属が接触し、摩擦力が発生し続けると温度がどんどん上がっていきます。ただし、高温になりすぎると金属が変形したり、駆動部分の負荷が高くなるため望ましくありません。
エンジンオイルが摩擦を低減したり、金属の温度が上がっても冷やす役割を果たしてくれます。エンジンオイルが金属へのダメージを抑えてくれるというわけです。
エンジン内の気密性を保持する
エンジンの中ではさまざまな部品が動いているため、空気が入ってしまうと、『キャビテーション』という現象を起こして耐久性が悪化する可能性があります。
エンジンオイルを充填することで空気が入る余地を失くしてくれます。高い気密性を保つことでキャビテーションの発生も少なくなり、部品の保護につながっています。
汚れを掻きとり燃費の悪化を防ぐ
エンジンが駆動することによって部品が接触して摩耗してしまうことは紹介しましたが、削れた摩耗粉がその場にたまってしまうと徐々に駆動の効率が悪化し、燃費の悪化が進行していきます。
エンジンオイルはこの摩耗粉やさまざまな汚れも含めて掻きとってくれる役割があり、燃費の悪化を防ぐ役割も持ち合わせています。
錆を防ぐ
金属は水分と接触した状態が続くと錆が発生してしまいます。エンジン部品も同様で、エンジン内部が高温になり外部との温度差が大きくなることで、内部に水蒸気が発生し、それが錆びの原因になってしまいます。
錆びは強度悪化や効率悪化につながる可能性があるため注意が必要です。エンジンオイルは、循環することで水分が一定の場所に留まるのを防止し、錆を防ぐ役割を果たします。
おすすめのエンジンオイルの選び方
エンジンオイルの粘度で選ぶ
エンジンオイルの粘度の見方
エンジンオイルは、粘度・オイルの硬さが製品ごとに異なっています。
『数字+記号-数字』という形で表示されており、
・最初の数字:低温時の粘度
・記号:季節
・-後の数字:高温時の粘度
を示しています。
それぞれ、エンジンの『始動性』や『油膜保持性』を表す指標で、エンジンオイルを購入する際には把握しておくべき情報なので、きちんと理解しておきましょう。
車の使い方や車種・季節に合わせた粘度を選ぶ
エンジンオイルは多数のメーカーから多くの製品が発売されていますが、それぞれ個別の車両ごとに適切なエンジンオイル粘度は異なります。
わからない場合には量販店の店員さんに確認したり、自分の車に最初から入っているエンジンオイルの銘柄を確認し、できるだけ性能的に近いものを購入するのがおすすめです。特に燃費を重視した環境対応車は、エンジンオイルを間違えると燃費悪化につながる可能性があります。
新車時の粘度をチェックする
新車で納車される際にはその車両に合ったエンジンオイルが採用されています。エンジンオイルを交換する際には、新車でどのようなエンジンオイルが使われていたのかを確認するとよいでしょう。
取り扱い説明書でどのようなエンジンオイルが採用されているか確認できるため、交換の際の銘柄選びの参考にすることをおすすめします。
ベースオイルで選ぶ
化学合成油
エンジンオイルの構成要素としてもっとも重要なのはベースオイルです。主に3種類ありますが、中でももっとも性能が高いのは100%『化学合成油』といえます。
人工的に科学的に精製されたオイルで、エンジンオイルのために合成されており不要な成分が一切含まれていません。耐久性も十分で、特に車を大事にしている方やエンジンに負荷のかかる走行をする方におすすめです。
部分合成油
『部分合成油』は高価な100%化学合成油と安価な鉱物油のバランスをとった製品で、性能とコストの両立を目指した高性能なベースオイルです。
鉱物油は劣化しやすくなっていますが、化学合成油を配合することで性能を向上させています。
耐熱性やオイルの揮発性では100%化学合成油に劣りますが、毎日強い負荷を与え続けるのでなければ、部分合成油でまったく問題ありません。
鉱物油
『鉱物油』は非常に安価なベースオイルであり、もっとも一般的に普及しているオイルです。原油を元に不要な成分や有害になる成分を除去して作られており、人工的な合成などが必要ない分安価に精製できます。
オイルの成分にはばらつきがあるため、性能はそれほど高くありません。通常の街乗り程度であれば問題ありませんが、車の利用頻度が高かったり、スポーツ走行をする場合には向いていません。
品質規格で選ぶ
エンジンオイルにはそれぞれの製品を比較するために、『米国石油協会』と『日米自動車工業会』によって品質規格が定められています。『SN』や『SM』などといった記号が製品に付与されており、その記号によって低温性能や省燃費対策などの性能が分類されています。
メーカーが異なる製品間でどちらにしようか迷ってしまった場合には、この品質規格を確認することで大まかにどの程度の性能を持っているのか判断できます。
おすすめのエンジンオイルメーカー
Mobile
ガソリンスタンドも展開している『Mobile』の信頼性は折り紙付きで、国内車両メーカーでもよく使用されているエンジンオイルのトップメーカーです。迷った場合にはMobileのエンジンオイルを使用していれば問題ないでしょう。
WAKO’S
量販店での取り扱いは多くないので一般にはあまり知られていないかもしれませんが、『WAKO’S』は整備工場での知名度は絶大なものを誇っている国内エンジンオイルメーカーです。どうしてもワコーズのオイルがよいと信頼する人もいるほど魅了的な製品取り扱っています。
SUNOCO (スノコ)
高級なエステル配合化学合成油を比較的リーズナブルな価格で販売しているのが『SUNOCO』です。精製方法にも強いこだわりを持っており、不純物の混入を最大限減らしている点が特徴です。
カストロール
『カストロール』は歴史はとても古く、1899年にイギリスで誕生した歴史あるエンジンオイルブランドで、広く一般にも知られており量販店でも手に入りやすい点が特徴です。鉱物油から化学合成油まで幅広い製品を取り扱っています。
NUTEC
『NUTEC』はコストよりも品質をもっとも重要視して開発しており、エンジンオイルマニアや車好きのためのエンジンオイルを発売しています。高価な製品ですが、その性能は非常に高く明らかに車両性能が向上したのがわかるほどです。
A.S.H
『A.S.H』は一般的にはあまり知られていませんが、ポリマーを使用しないことでエンジンオイルによって発生する汚れを最大限防ぎ、非常に劣化しにくいオイルを提供しています。特にサーキット走行をするような方におすすめです。
bp
低燃費環境対応車から、スポーツ走行、ディーゼルエンジンまで幅広いラインナップを誇るバービスのエンジンオイルは、日本の道路事情でも高い性能を維持し続けてくれる新技術クリーンガードを採用した製品を販売しています。
MOTUL
『MOTUL』は今では高性能なオイルの代名詞とされる、100%化学合成油を世界で初めて市販化したメーカーで、独自の技術であるダブルエステルテクノロジーによりエンジンの性能と信頼性を最大限発揮させてくれます。
ENEOS
『ENEOS』のサスティナはガソリンスタンドでも広告が出ていますので、ご存知の方も多いでしょう。独自の技術でエンジン洗浄機能の持続力が向上しているため、評判がよい製品で燃費も向上させることが可能です。
SHELL
日本でもよく目にする『SHELL』ですが、フェラーリの純正オイルとして採用されていることでも有名です。天然ガスを使用したシェルのエンジンオイルは一般ユーザーには宝の持ち腐れといわれるほど高性能です。
REDLINE
アメリカ産オイルの代表格である『REDLINE』は、航空機のエンジンオイルとして開発されているため高温環境下でも使用可能で、特にモータースポーツ業界では超高性能オイルとしての地位を確立しています。
ROYALPURPLE
日本ではあまり知られていませんが、アメリカではごく一般的に使用されている『ROYALPURPLE』のエンジンオイル。エンジンの性能を高めてくれる特徴あるオイルですが、入手は難しく並行輸入品を探すのがおすすめです。
おすすめのエンジンオイル交換のタイミング
基本的な目安
エンジンの中に入っているエンジンオイルやエンジン内部の状態を確認するのは、自分だけでは困難なので、いつ交換すればよいかよくわからなくなってしまいます。ついついそのまま乗り続けてしまうこともあるでしょう。
エンジンオイルの交換目安としては、3,000km~5,000km走行ごと、または3~6ヶ月ごとといわれています。使用している中で性能はどんどん悪化していくため、エンジンを保護するためには適度な感覚での交換をおすすめします。
シビアコンディション
サーキット走行やスポーツ走行、毎日長時間エンジン負荷が高い状態を保つ走行をする場合には、エンジンオイルに対する負荷も通常よりも高くなり、シビアコンディションと呼ばれます。この場合には基本的な目安よりも短いサイクルで交換したり、より耐久性が高く高品質な製品に変更することをおすすめします。
意外と盲点なのは短距離走行が多かったり、低速・アイドリング状態が長い場合です。距離に対するエンジン作動時間が長いため負荷が高いといえます。