HDDやSSDなどのストレージは大切なデータを保存するのには欠かせない製品ですが、ここ数年新しい『SSHD』という製品が出てきているのはご存知でしょうか。HDDとSSDの中間的な要素をもつSSHDは、価格が手頃で読み書きも速いことで近年人気が出てきています。
この記事ではSSHDの概要について解説していきますので、自分に合うSSHDを探してみてください。SSHDは種類もたくさんあるので、どれを選んだらよいのかわからないという方のために、選び方のポイントも紹介します。
そもそもSSHDとは
『SSHD』とは『Solid State Hybrid Drive』の略称で、2007年頃に登場したHDDとSSDのメリットを組み合わせた優れた商品です。しかしHDDやSSDに比べると普及率も低いため、聞いたことがないという人も多いでしょう。
PCやゲームを使う上でHDDやSSDはデータを保存する欠かせないアイテムですが、これらは『補助記憶装置』といってPCで作成した資料やゲームなどのデータを保存する役割です。
HDDでは円盤のディスクの読み込みと書き込み、SSDではデータを保存できます。SSHDは手頃な価格で、HDDやSSDと同様に大容量のデータの読み込み・書き込み・保存ができる商品です。
SSHDとHDDの違い
『HDD』は内蔵された磁気ディスクが回転することで、データの読み書きを行います。磁気ディスクを回転させながらデータを読み書きするため衝撃に弱いという欠点はありますが、大容量のデータを保存できることと価格が安いことが魅力です。
『SSHD』はSSDと同じフラッシュメモリと呼ばれる記憶装置を採用しているため、データの書き込みが速く衝撃に強いのが特徴です。HDDは安価で大容量のデータを扱え、SSHDは衝撃に強く起動スピードの速さが違います。
SSHDのメリット
処理スピードの速さ
SSHDの特徴はHDDに比べ処理スピードが速い点です。SSDと同じようにフラッシュメモリを使うことで、電源を切っても内容は保存されますし、PCやアプリケーションを再度起動させたときも時間をかけずに素早く立ち上がります。
SSHDであれば2TBのアイテムでも10,000円以下で購入できるため圧倒的にコスパは高く、大量のデータを扱う人にとってはありがたい商品です。
SSHDは大容量データ保存
SSHDの最大のメリットは大容量のデータを保存できる点です。SSHDとHDDで使用するディスクは同じなので、2TBや4TBといった大容量のデータもコストを押さえて保存できます。最近は1本60GBと容量の大きいPCゲームも増えているので、ゲームや4Kなど大量のデータを扱うならSSHDがおすすめです。
さらにSSHDはSSDと同じNANDフラッシュメモリを搭載しているため、読み書きのスピードも速いのも大きな魅力でしょう。
SSHDはSSDより安い
大容量のデータを扱えるだけでなく、SSDよりも価格が低いのもSSHDの魅力です。1TBのSSDを購入しようとすれば15,000円前後はかかります。しかしSSHDであれば、8,000~9,000円程度で購入できます。
2TBや4TBと容量が増えれば増えるほど、SSHDとSSDで金額の差も大きくなってきます。SSHDはPCやアプリケーションの起動がSSD並に早く、大容量のデータ保存ができてコストも抑えられます。
SSHDのデメリット
SSHDは発熱量が多い
SSHDはHDDと同様に、ディスクを回転させることで読み書きを行いデータ保存します。問題はディスクを回転させるため、熱をもちやすい点です。
一方でSSDはフラッシュメモリを使っており熱はほとんどもたないので、SSDを利用していてSSHDに乗り換えると発熱量の多さを感じる場合もあるでしょう。
SSHDは衝撃に弱い
HDDもSSHD、SSDも精密機械であるため衝撃に弱い作りです。その中でもHDDとSSHDはディスクを物理的に動かしているため特に衝撃に弱いストレージです。
HDDはPCやゲームの起動時、SSHDはデータ転送時に衝撃を加えると壊れやすくなります。中のパーツが破損してしまうことで、データが取り出せなくなることもあります。SSDは物理的に動いている訳ではないので、多少の衝撃であってもすぐに壊れてしまうことはあまりありません。
おすすめのSSHDの選び方
サイズで選ぶ
SSHDの大きさには『2.5インチ』と『3.5インチ』の2つがあります。
『3.5インチ』のSSHDはデスクトップやサーバー用として主に使われおり、『2.5インチ』のSSHDはノートPC用やゲーム機などに使われています。2.5インチのSSHDは低電力で、3.5インチと比べると静音性にも優れているのが特徴です。
SSHDの厚みを考えずに大きさだけで選んでしまうと、取り付ける際に厚みがありすぎて使用できないという事態になることも考えられますので、事前に用途を明確にしておくことが大切です。
使う目的に合わせて選ぶ
Officeを使いたい人
仕事でExcelやWordといった資料作成などをメインに行う人は、500GBの容量で十分でしょう。動画編集ソフトやPCゲームなど容量の大きいものを数多く入れなければ、ストレスなく動作します。
ただ引き継ぎや仕事内容の変化で大きなデータを扱う場合は、容量いっぱいに入れてしまうと動作が遅くなるので注意しましょう。
写真が趣味の人
InstagramやTwitterなどの普及により、SNSで写真をUPする人が増えてきたことで写真撮影をする人が多くなりました。PCにはOfficeのアプリケーションで資料や文書作成をする場合は、1TBは欲しいところです。
1TBあればデジカメの画像で約25万枚、文庫本で約1万冊分を保存できます。フォトショップ専用のアプリを使って写真を加工する場合は、1TBあると容量を気にすることなく写真を保存しておけます。
PS3・PS4、動画保存する人
4Kの高画質な動画やPCゲーム機の迫力のある画質を楽しみたい場合は、2TBあると安心です。1本60GBなどと容量の大きいPCゲームを何本も保存しておきたい場合は、2TB以上ないと容量不足でゲームのアンインストールやデータの整理の必要がでてきます。
動画を編集する場合も容量の大きいSSHDを用意しておくことで、容量を気にすることなく動画編集に集中できるでしょう。
スペックで選ぶ
ディスクの回転速度
HDDやSSHDのディスクは回転することで読み書きを行います。1分間でのディスクの回転数を『rpm』という単位で表しますが、この数値が大きければ大きいほどアクセスまでの時間は早くなり、価格も高くなります。HDDやSSHDの回転速度には『5400rpm』『7200rpm』の2種類があります。
数字の低い『5400rpm』は、データまでのアクセスは遅いものの価格も安く消費電力が少ないので、発熱しにくい作りです。『7200rpm』はデータまでのアクセスが早く、値段が高い傾向にあります。
SSHDの場合はNANDフラッシュメモリを採用しているので、ディスクを使うことなく通信を行うためあまり回転数にこだわる必要はありません。
キャッシュ (バッファ)容量
データを転送するときに一時的に保存する場所を『キャッシュ』や『バッファ』といいます。キャッシュ部分の容量が多いほど、データのやり取りを少なくすることが可能です。SSDに比べると転送スピードは遅くなりますが、SSHDを購入するときはキャッシュの数字が大きいアイテムを選ぶことをおすすめします。
HDDやSSHDには64MB~256MBのものが多く、特に64MBのSSHDは値段も比較的安いので、キャッシュの容量と価格と比べて購入を検討するのもいいでしょう。
転送速度
データを転送する際に必要な『転送速度』というものがあります。SSHDに使われているインターフェイスは『SATA』と呼ばれる規格です。SATAには3種類あり、2000年に速度150MB/sの『SATAⅠ』、2004年に300MB/sの『SATAⅡ』、2009年に600MB/sの『SATAⅢ』が登場しました。
SATAⅢは下位変換ができるのでPCがSATAⅡの接続部分であっても心配する必要はありません。SATAⅢを選んでおけば、満足のいく転送速度が実現するでしょう。