1台でさまざまな音色を奏で、多彩な演奏を実現する楽器『シンセサイザー』。趣味やライブ、作曲活動など幅広い用途で活用できる楽器として人気を集めています。
そんなシンセサイザーですが、非常に多くの種類が販売されているため、はじめて購入しようと思ってもどれを選んだらよいか悩んでしまう方も少なくありません。そこで今回はシンセサイザーの特徴や選ぶ際のポイントを解説していきます。おすすめの商品もランキング形式でご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもシンセサイザーとは
シンセサイザーは語源が『synthesis (合成)』で、キーボードの一種ではありますが、電子工学的手法を用いることでさまざまな音、リズムなどを合成できるという特徴をもっています。
音作りを楽しみたい方は合成できる機能性の高いものを、さまざまな演奏を楽しみたい方は多彩な楽器音が出せるシンセサイザーを選ぶと、用途に合致しているのでうまく活用できます。
シンセサイザーの基礎知識
オシレーター (VCO)
『オシレーター』とは発信器のことで、シンセサイザーにおいては音の元になる波形を作る部分に相当します。ノコギリ波・パルス波・サイン波・三角波といった単純な波形を足し合わせて、複雑な波形を作ることができるのです。
さらに周波数を変化させるツマミの付いているシンセサイザーであれば、オシレーターの音程を変化させることもでき、より広い用途で活用することが可能になります。機種によってはオシレーターを電圧ではなく、デジタル回路で制御するものもあり、こちらはより安定感の増した使用感が特徴となっています。
フィルター (VCF)
オシレーターから出た音は『フィルター』へと送られます。このフィルターは『Voltage-Controlled Filter』といい、電圧制御によって必要のない周波数帯域を削ったり、時には倍音を付加する役割を果たします。
『レゾナンス』というツマミの付いている機種であればツマミを上げることで、カットする帯域を持ち上げたり、レゾナンスを最大にすることで自己発振しオシレーター無しで音を作ったりすることも可能です。
アンプとエンベローブジェネレーター
VCFを通った音は音量コントロールを行う『Voltage-Controlled Amplifier』、いわゆる『アンプ』へと送られます。このアンプには『エンベローブジェネレーター (EG)』というモジュールが備え付けられていることが一般的です。
このアンプやエンベローブジェネレーターを用いて音量や音高の時間変化の操作を行うのです。
LFO
シンセサイザーをもっと面白く使うのに役立つのが、『LFO』という可聴域より低い発振を行う装置です。これはシンセサイザーにおいて音を変調させる目的で使用されます。
たとえばLFOでオシレーターを変調させることでピッチの上下を調節したり、フィルターに働かせることでかかり具合を動かしたり、といった使用方法ができるのです。文章で見ると掴みにくいかもしれませんが、実際にシンセサイザーに触れて聞いてみると体感できるので、ぜひ試してみてください。
おすすめのシンセサイザーの選び方
音質で選ぶ
シンセサイザーに限ったことではありませんが、楽器は価格帯や製造しているメーカーなどで音色に変化があります。
音色は多ければ多いほど幅広い用途で活用できますが、基本的には自分が演奏する音楽のジャンルに合わせて選べば問題ありません。弾き語りであればピアノやオルガン、音楽的に民族楽器の音色も欲しい、環境音楽を作りたいので自然音を出したい、など自分の用途に合致した音色をもつモデルを選ぶとよいでしょう。
鍵盤の数で選ぶ
ピアノの鍵盤数は基本が88ですが、シンセサイザーは種類が多く、25・37・61・64・73・76・88まで展開されています。ピアノ以下の鍵盤数だと、演奏できる曲が限られてしまうこともあるので注意が必要です。
一般的なバンド演奏の用途であれば61~88の鍵盤数がおすすめです。しかし鍵盤数が多くなるほど本体サイズが大きくなり、重量もアップします。持ち運びを頻繁に行う方は移動時のことも考えながら選ぶようにしましょう。
鍵盤のタッチ感で選ぶ
シンセサイザーの鍵盤のタッチ感には2つの種類があります。1つ目は『エレクトーン』のような軽いタッチ、2つ目は『ピアノ』のようなやや重めのタッチ感です。これらのタッチ感は基本的には好みで選んで問題ありません。
タッチ感が重めのタイプはピアノの慣れている方にとっては弾きやすいタイプになりますが、タッチ感が重いものは軽いものに比べて本体重量が重くなりがちなのでその点は注意が必要です。
また鍵盤上にすばやく指を滑らせて連続した音を出す『グリッサンド奏法』を行う場合は、タッチの軽いものの方が適しています。
機能で選ぶ
シンセサイザーの大きな魅力といえるのが多彩な機能性です。しかしどんなにたくさんの機能を搭載していても、使わない、使えないのであれば意味はありません。そこで自分がシンセサイザーで行いたいことをしっかりと決めておき、必要な機能を把握することが大切になります。
たとえばシンセサイザーを使用してオリジナルの曲を作りたいと考えているのであればピアノやドラム、ベースなどの複数の楽器の演奏や打ち込み、さらには録音までできる『シーケンサー機能』が搭載されているものが便利です。この機能を駆使すればシンセサイザー1台で厚みのある音楽を作ることが可能です。このように機能性とやりたいことを考えて選ぶようにしましょう。
予算で選ぶ
シンセサイザーは一般的に6万円前後のモデルが多く展開されています。この相場よりも安いモデルになると小型で鍵盤数も少ないタイプになり、演奏に使用できないということも考えられます。
また多機能なモデルになると10万円以上することもあり、これは楽曲を作りたいという方には重宝するものですが、通常のバンド演奏のみの用途であればそこまでの機能性は必要ない場合もあります。予算と機能性の兼ね合いを考えてちょうどよいものを選びましょう。
シンセサイザーのおすすめメーカー
シンセサイザーを選ぶ際にどれを選んだらよいか悩んでしまった場合は、まずメーカーから決めてしまうのも一つの手段です。シンセサイザーを展開しているメーカーで有名なものは、『ローランド』、『YAMAHA』、『KORG』です。それぞれのメーカーの詳しい特徴については後述しますが、この3つのメーカーが世界的にも人気の高いシンセサイザーを製造しています。
それぞれのメーカーがさまざまな特徴をもつシンセサイザーを展開し、世界中の音楽好きな方の支持を得ています。いずれのメーカーも日本企業で国内に拠点を構えているので、不具合時にも安心、という点もおすすめのポイントです。
ローランド
電子オルガンやシンセサイザーなどの電子機器を早い段階から製造し、世界で愛されているメーカー『ローランド』。展開されているシンセサイザーは基本的に軽量コンパクトなモデルが多く、初心者の方にも扱いやすいデザインが特徴になっています。持ち運びしやすいので、ライブでよく使用する方におすすめです。
YAMAHA (ヤマハ)
さまざまな方面で名の知られているメーカーである『YAMAHA』は、特に楽器に関しては国内外問わず高い人気を誇るトップブランドです。そんなYAMAHAが展開しているシンセサイザーは、楽器メーカーの意地と技術力を活かした高クオリティが特徴。楽器系の音は生楽器に非常に近く、一つ一つの音にこだわりたい方のニーズに応えてくれます。それでいて操作性がシンプルで使いやすいのも大きな魅力です。
KORG
高品質な電子音楽機器を展開し、トップミュージシャンにも愛用されているメーカーが『KORG』です。シンセサイザーは音の厚みに対してこだわりがあり、特にドラム音源の充実が特徴なので、HIPHOPシーンで重宝されています。またアナログシンセサイザーが高い人気があり、アナログシンセサイザーと言えばKORGというイメージが定着しています。