『NVIDIA・『AMDなどアメリカの大手半導体メーカーを中心に発売されている『グラフィックボード。
映像の綺麗さを左右し、特に高度な映像処理や3Dゲームを楽しみたい方には必須のアイテムです。グラフィックボードを選ぶ際は、サイズ・動作環境・冷却機能など確認しなければならないチェックポイントが複数あります。
そこで今回は『グラフィックボードを初めて購入する方にも分かりやすく選び方を解説。コスパ最強のグラフィックボードもランキング形式で紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
グラフィックボードとは
『グラフィックボードは、パソコンの映像を綺麗に映し出す役割を担う部品です。グラボもしくはビデオカードと呼ばれることも。扇風機のようなファンが備わった横長のボディをしています。
グラフィックボードは、特にCAD等の製図ソフトを用いて図面を描く時や本格的な動画編集、最新の3Dゲームを楽しみたい時には必須アイテム。初心者向けの1万円代からプロ向けになると10万円代にもなる高額製品です。グラフィックボードは多彩なラインナップ発売されているので、使用用途にあわせて最適なものを選びましょう。
おすすめGPUの2大メーカー
『GPUとは『Graphics Processing Unit』の略で、グラフィックボードの元になる内部のチップのこと。主に3Dグラフィックスなどの画像を映すために使われたり、単純かつ膨大な量のデータをスピーディーに処理したりと、画像処理を専門にしたパソコンの頭脳ともいえる部分です。
GPUは主にアメリカの『NVIDIAと『AMDによって生産・発売されています。
NVIDIA
『NVIDIAは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララに拠点を構える企業。GPUをはじめ、ノートPCやモニターも発売する半導体の大手メーカーです。
多彩なGPUを発売していますが、中でもシリーズはゲームプレイヤーに大人気。GeForceはGT・GTX・RTXという順に性能が高くなります。ちなみに同じチップセットでも商品名の末尾にTiが付くモデルの方がハイスペック。またクリエイターに適したQuadroも発売しています。
AMD
『AMDは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベルに拠点を構える企業。一般ユーザーからプロ向けまで、様々なGPUを製造・発売している半導体のリーディングカンパニーです。
ゲーム向けのRadeonは比較的リーズナブルな価格で購入できるため、初心者の方にもおすすめ。発色の良さや複数モニター同時出力能力に定評があります。またFireシリーズは、クリエイターに人気です。
コスパ最強グラフィックボードのリファレンスモデル・オリジナルモデルとは
グラフィックボードにはリファレンスモデルとオリジナルモデルの2種類が発売されており、どちらを購入しようか迷う人も多いはず。
リファレンスモデル
『リファレンスモデルは、安定した稼働・コンパクトなサイズ感・リーズナブルな価格が魅力です。
NVIDIAやAMDが定めた標準設計モデルなので、当たり外れが少ないのもポイント。またPC環境に左右されることなく、常に一定の性能を発揮します。オリジナルモデルに比べてサイズが小さいため、エアフローを組んでいないPCケースでも安心して使用可能。
またグラフィックボードの平均寿命は約5年といわれていますが、オリジナルモデルは改造して使う人も多く、寿命が短くなってしまうことも。一方でそもそも無理な使い方や改造ができないようになっているリファレンスモデルは、丁寧に使えば5年以上もつというのも利点です。さらに性能面を除けば、全メーカー共通設計になっているため、リーズナブルな価格で購入できるのも魅力。安定性や価格を重視する方には特におすすめのモデルです。
オリジナルモデル
『オリジナルモデルはリファレンスモデルが発売された後、各メーカーが独自にカスタマイズしたモデルです。主にファン部分のデザインが異なることから『オリジナルファン『オリファンなどと呼ばれることもあります。
オリジナルモデルは、その名の通り各社オリジナルのデザインや構想を組み込んだモデル。メーカーによっては共通のブランドを持っていることもあります。GPUがオーバーロックされて発熱量が増加してしまうため、大型の冷却ファンを搭載したデザインが特徴。
またバリエーションが豊富なので、自分が今使っている液晶ディスプレイの端子に最適なモデルを選ぶことができます。さらにNVIDIAやAMDのGPUメーカーよりも高い性能を発揮。デザインを重視したい方や、ハイスペックのグラフィックボードを求めている方におすすめです。ちなみに基盤となるGPUチップはどれも同じなので差はありません。
おすすめのコスパ最強グラフィックボードの選び方
動作環境
グラフィックボードを購入する際、『動作環境のチェックは重要です。チェックを怠ると、購入してもソフトやゲームの推奨環境満たしておらず、買い直さなくてはなりません。グラフィックボードを増設することはできないため、必ず確認しましょう。
グラフィックボードの確認は、『DirectX 診断ツールから確認できます。DirectX 診断ツールにはグラフィックボードの商品名・製造元・容量などが記載されています。
たとえば『FINAL FANTASY 14のゲームを楽しむために必要動作環境は、NVIDIAだとGeForce GTX 750以上、AMDだとRadeon R7 260X以上が必要です。特に3Dゲームをするためにグラフィックボードを購入する場合は、様々なゲームの推奨環境をチェックして最低でもどれくらいのスペックが必要か確認すると失敗がありません。
サイズ
意外と見落としがちなのが『サイズ。購入したはいいものの、PCケースに入らなかったという失敗はよく耳にします。
そのためグラフィックボードのサイズはもちろん、グラフィックボードを取り付けるスロットの数や幅、PCケースのサイズもしっかり測ってから購入しましょう。特に冷却性能が大型のファンが付いているモデルは、通常より一回り大きいサイズがほとんど。
またグラフィックボードを定期的に買い換える方は、『ATXなど大きめのPCケースを購入して、どんなグラフィックボードにもある程度対応できるようにするのもおすすめです。
PCモニターとの同期性能
グラフィックボードには、映像を切り替える際に発生するブレやズレを無くし、滑らかに映し出す機能を搭載したモデルも発売しています。代表的なのは、NVIDIAの『G-SYNCとAMDの『FreeSyncという規格。
特にNVIDIAの『G-SYNCは映像の乱れを自動調節し、綺麗な映像を映し出してくれるため、ゲーマーの方や映像制作者に定評があります。ただしG-SYNCに対応するモニターメーカーは今のところASUS・BenQ・Fillips・ViewSonic。G-SYNCを検討する際は、モニターも合わせてチェックしましょう。
消費電力
グラフィックボードは高性能なモデルほど電力を多く消費します。省エネを意識したい場合は、消費電力の少ないグラフィックボードを選びましょう。消費電力が大きいグラフィックボードには、パソコンの電源ユニットから直接電気を供給しないといけないモデルも。
その場合は、電源ユニット側に補助電源コネクタが必要です。そのためグラフィックボードを搭載する予定のパソコンの電源ユニットを良く確認しましょう。グラフィックボードとパソコンパーツの消費電力が、電源ユニットの最大供給電力を超えないようにする必要があります。
冷却性能
グラフィックボードは、GPUへの負荷が増えると熱量が増し、パフォーマンスが低下するため『冷却性能も要チェック。最近では、一定の温度以下になるとファンが停止する機能が付いたモデルも発売されています。
より高い冷却性能を求める場合は、ヒートシンクやヒートパイプなど放電効果の高い部品を搭載しているかも合わせてチェックしましょう。またグラフィックボードのファンの仕様は、熱の排出の仕方が異なる外排気・内排気・簡易水冷の3種類に分かれます。それぞれメリット・デメリットがあるため目的や用途に適したものを選んでください。
最大表示解像度
グラフィックボードの性能が高いほど、最大解像度は高くなります。しかし外部インターフェース規格が、その解像度に対応できないとうまく映像出力ができないので注意が必要です。HDMI付きのものはフルHDや4Kにも対応できます。
CUDAコア数
『CUDA (Compute Unified Device Architecture)はNVIDIAが開発・提供しているプログラミングモデル。CUDAコア数が大きいほど高いパフォーマンスを発揮しますが、その分値段も高くなります。
ビデオメモリ数
グラフィックボードのメモリ数が大きければ、一度に多くの情報を保存できると同時に、情報処理も行ってくれます。メモリが不足すると描写性能ががくんと落ちることも。
一般的にグラフィックボードを使用する際は、6GBあれば十分です。一方映像クリエイターの場合は、メモリ数が足りないと映像をスムーズに表示できないため、8GB以上は最低限必要になってきます。メモリ数は大きければ良いという訳でないので、使用目的に合わせて最適なメモリ数を選びましょう。
接続端子
グラフィックボードの『出力端子は、ボードにより異なります。一般的には、『VGA (D-Sub15)『DVI『HDMI『DisplayPortなどが主流です。そのためパソコンに接続する端子の種類を確認する必要があります。
たとえばパソコンのモニターの端子がHDMIしか対応していない場合は、グラフィックボードにHDMIの出力端子がある製品を選ばなければなりません。またデュアルディスプレイなど複数のモニターに出力する場合、端子の数が足りないことも。そのため購入前には端子の数の確認も怠ってはいけません。
用途別に見るコスパ最強グラフィックボードの選び方
ゲーム
ゲームは、GPUのグラフィック処理能力を最も必要とします。コスパを重視して安いグラフィックボードを購入しても、綺麗な映像でゲームを楽しめないのである程度機能性の高いモデルを購入するのがおすすめです。
特にNVIDIAはゲーム用に開発されたグラフィックボードが豊富。Geforce RTX 2000番台、通称『RTX20シリーズはゲーマーにとても人気です。GPUアーキテクチャ『Turingや、革新的なRTXプラットフォームを採用し、限りなくリアルに近い臨場感ある映像が魅力。
本気でゲームを楽しみたい方はRTX2070以上がベターです。快適な環境で不自由なくゲームを楽しみたいのであれば、GTX1660以上でも十分対応できます。
ローエンドモデルの安いグラフィックボードでもゲームはできる
グラフィックボードは値段が高い=高性能なのは確かですが、最新世代のグラフィックボードには『ローエンドでも優れた性能を持つモデルも。
代表的なのはNVIDIAのGTX1030。10,000円前後のリーズナブルな価格で購入でき、消費電力は30wなので補助電源が必要ありません。さらにGTX750TIと750の間に匹敵する処理能力を有しています。
ゲームは楽しみたいけど、それほどハイクオリティーな映像を求めず、必要最低限のスペックを備えていれば十分と考えている方にはおすすめです。
CG制作などクリエイティブな作業
NVIDIAのGTXシリーズは、最近CG制作クリエイターに定評があります。人気の理由は8GBとメモリ数が大容量で、一度に多くの情報処理を行ってくれる上、CUDAの処理能力が高いからです。またプロのイラストレーターに人気なのはNVIDIAの『Quadroシリーズ。
K2200やM4000などハイスペックなグラフィックボードが人気です。色深度10bitカラーで、10億6433万色に対応。思い通りの色を表現しやすく、グラデーションも綺麗に映し出してくれます。
ただしマスターモニターやカラーグレーディング用モニターなど、10bitに対応できる高価なモニターが必要です。さらにELSA(国内の正規販売代理店)から購入すると3年間の長期保証が受けられます。安心して長く使えるのも嬉しいポイントです。
その他事務的な作業など
事務作業レベルで使用する場合は、CPUに付属しているグラフィック処理能力でも十分対応できます。
しかし最近ではグラフィック処理機能が付いていないタイプも。AMDのRyzenシリーズはグラフィック処理機能が付いていません。またIntelCPUも、グラフィック処理能力が付いていない製品が比較的多く発売されています。事務作業で使うグラフィックボード選びに迷ったら、RX570がおすすめ。汎用性があり、様々な作業に対応できます。
コスパ最強のグラフィックボードの人気おすすめメーカー
ASUS (エイスース)
『ASUSは1989年に創業した台湾の総合エレクトロニクスメーカー。グラフィックボードだけでなく、マザーボードやノートパソコン、SIMフリースマートフォンなど幅広く開発・製造しているトップ企業です。
グラフィックボードに関してはGeForceとRadeonのどちらも取り扱っており、オリジナルデザインのビデオカードを製造しています。またハイテクファン・低音・低ノイズに定評があり、リーズナブルな価格から高額なグラフィックボードまでバリエーションが豊富なのも特徴です。
MSI
『MSIは1986年に設立された、コンピューター関連部品の開発・製造を行う大手メーカー。正式名称は『Micro-Star International。
プロゲーミングチームのスポンサーも務めており、eスポーツの普及活動にも力を入れています。『MSI GAMINGシリーズのノートパソコンは世界中のゲーマーから支持されており、ゲーミングデバイスの開発・製造にも積極的。グラフィックボードは、NVIDIAのGeForceを搭載した製品を主に取り扱っています。冷却性能や静音性に優れたグラフィックボードが特徴で、MSI独自技術の『TwinFrozrを搭載したハイスペックモデルも人気。ミドルクラス〜ハイクラスのグラフィックボードに定評があります。
GIGABYTE (ギガバイト)
『GIGABYTEは1986年に設立され、台湾に本社を置くエレクトロニクスメーカー。エンタープライズ市場とコンシューマー市場双方に、パソコンやパソコン周辺機器を展開しています。設計・開発・生産からアフターサービスまで一貫して自社のインフラで提供しているのも特徴です。
『AROUS GAMINGというゲーマー向けブランドを展開し、世界中のゲーマーから熱い支持を集めています。グラフィックボードは、ローエンドのグラフィックボードからハイスペックのグラフィックボードまで多彩なラインナップを発売。特に、2~3つのファンが付いた大型モデルのバリエーションが豊富です。リーズナブルな価格で購入できるため、一般ユーザーはもちろんプロからも定評があります。
玄人志向
『玄人志向は愛知県に本社を構えるCFD販売株式会社が展開するパソコン周辺機器の国内ブランド。グラフィックボードはもちろんHDDケースやマザーボード、ゲーミングチェアまでも発売しています。ブランド名の通り玄人向けに特化した、リーズナブルな価格でハイクオリティーの製品が特徴です。
グラフィックボードはNVIDIAのGeForceとAMDのRadeonどちらも取り扱っており、多彩なラインナップが魅力。特に、NVIDIA GEFORCE RTX 2080 Ti 搭載グラフィックボードは高い冷却機能を発揮しながらも、低音設計でゲーマーの方を中心に支持されています。ただし製品サポートは初期不良以外、一切行ってくれないので要注意。自作でパソコンを作る方やパソコン周りの周辺機器に精通した方におすすめのブランドです。
ZOTAC (ゾタック)
『ZOTACは2006年に設立した、香港のハードウェアメーカー。PC Partner Group傘下にあり、NVIDIA社のGPU『GeForceシリーズを搭載したグラフィックボードを多数展開しています。
ZOTACは他のメーカーに比べて、小型パソコン向けのグラフィックボードに強みがあるため、コンパクトなサイズ感が魅力。部屋のスペースを取らず、大きめのPCケースが必要ない点もポイントです。
ELSA (エルザ)
『ELSAは1980年に創業した、パソコン周りの周辺機器を開発・発売するドイツのメーカー。エルザのグラフィックボードは、衝撃やホコリに強く、安定した稼働に定評があります。その分、値段は他のメーカーに比べてやや高め。
またユーザーがグラフィックボードの手入れをする際、怪我をしないよう少し丸みのあるデザインになっています。さらに他のメーカーの保証期限が1年であることが多い中、エルザの保証期限は最長3年。長く使えるグラフィックボードを探している方には特におすすめのメーカーです。