最近は女性でも乗る方が増えてきた『バイク』。安心して乗り続けるためには『バイクタイヤ』の整備は必要不可欠です。
とはいえバイクタイヤはいつ交換しなければならないのか、どのようなタイヤを選ぶのが正解なのかなど悩まれる方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方のためにバイクタイヤの購入前に知っておきたい基礎知識や、おすすめの商品をご紹介していきます。ぜひバイクタイヤ選びの参考にしてみてください。
バイクタイヤの基本
バイクタイヤは地面に常に触れており、定期的にメンテナンスをしないと、破損やブレーキなどの安全性に影響する大切なパーツです。
タイヤの交換時期ですが、『スリップサイン』と『使用年数』によって判断します。『スリップサイン』とはタイヤの寿命をお知らせしてくれるマークで、タイヤの側面にある三角マークの延長にあります。タイヤが摩耗すると溝の深さが短くなり、1.6mmを下回るとスリップサインが見えてきます。
すり減ったタイヤは滑りやすく、雨天時はスリップして大事故にもつながり危険ですので、速やかに交換しましょう。またタイヤがすり減っていなくても、ゴムは経年劣化するので、4〜5年が寿命といわれています。バイク本体はもちろん、ストックしているタイヤなどもできるだけ直射日光を避けて劣化を防ぎましょう。
バイクタイヤに書いてある表記の読み方と意味
タイヤサイズ
バイクタイヤのサイズ表記はタイヤの側面に記載されており、国内で統一されているのでメーカーが異なってもほとんど同じです。
たとえば『120/60 ZR 17 M/C (55W) 』のサイズ表記では、それぞれ『タイヤの総幅/タイヤの扁平率 ラジアル構造表記 リム径 モーターサイクル用表示 (荷重指数 速度記号) 』を意味しています。バイクタイヤのサイズは車両と用途によって決まることが多いです。メーカーが車両に合わせて指定しているタイヤサイズを使用するようにしましょう。
速度記号
『速度記号』は決まった条件下での最高速度を意味します。単位は『km/h』で表され、速度によって割り当てられたアルファベットで表示します。
最高速度5km/hでは『A1』、270km/hでは『W』と速度が上がるにつれてアルファベットが進んでいきます。バイク本体が必要とする最高速度より低いものは使用できないので注意しましょう。
ロードインデックス (荷重指標)
『ロードインデックス (荷重指標)』は規定の条件で速度記号の最高速度で走った場合、タイヤが耐えられる最大の荷重を表し、単位は『kg』で、負荷能力と表されます。負荷能力の最小80kgは『20』となり、荷重が重くなるにつれ記号も大きくなります。
車両ごとに適切なものが決まっており、指定のものより下位のタイヤを使用すると、急ブレーキなど大きな負荷がかかった場合に破損する恐れがありますので注意が必要です。
タイヤの空気圧
タイヤの『空気圧』は規定値で構いません。車体とタイヤの適正空気圧は異なるので、どちらに合わせればよいかは使用状況を見ながら判断するとよいでしょう。
車体の適正空気圧に合わせていてタイヤの減りにムラがある場合などは、タイヤの空気圧に合わせることをおすすめします。タイヤの空気圧を適正値より下げた方がグリップ力が上がるとの考え方もありますが、破損や抵抗が強くなるなどの危険があるので、必ず適正値の範囲で使用するようにしましょう。
おすすめのバイクタイヤの種類
バイクタイヤは『カーカス』の重ね方の違いで、『バイアスタイヤ』と『ラジアルタイヤ』の2種類に分かれます。『カーカス』とはタイヤのゴムを支える芯の部分のことで、ワイヤーとゴムを層のように重ねて強度を出す仕組みです。両者ともに長所・短所があるので、乗り心地や性能によって必要なバイクタイヤを選びましょう。
バイアスタイヤ
『バイアスタイヤ』はカーカスを斜めに配置しており、層ごとに斜めの方向を変えながら巻くことで強度を出しています。柔軟性があるので衝撃吸収性が高く、悪路走行でも乗り心地のよいタイヤです。積載性も高く重量のあるバイクでは、バイアスタイヤの方が安定して走ることができます。
近年ではラジアルタイヤが主流となって新しい商品の開発もされていますが、排気量が小さな原付・スクーターなどの車体や、通勤などで一般道路をメインにした走行に向いているでしょう。
ラジアルタイヤ
『ラジアルタイヤ』はカーカスが放射状に配置され、強度を持たせるため補強材のベルトが巻かれたタイヤです。カーカスとベルトでさまざまな素材の組み合わせができるので、軽量で高性能なタイヤが開発されています。グリップ力に優れ、コーナリングでも安定した走行が可能。安定した接地面で、エンジンの大きいパワフルなバイクで高速道路を走行しても、乗り心地がよいです。
摩耗も均一で燃費がよく、スピードやコーナーでの安定感を必要とするツーリングや峠走行用のタイヤが多くなっています。
ハイグリップタイヤ
『ハイグリップタイヤ』はラジアルタイヤのグリップ力をさらに強力にした商品で、『スポーツタイヤ』とも呼ばれます。グリップ力が強いと路面をしっかりとつかむので、スピードを出していてもスムーズなコーナリング走行や細かい操作ができるのが特徴です。
急ブレーキをかけてから止まるまでの距離も短く、安全性にも優れています。欠点はグリップ力が非常に強いので路面からの摩擦が強く、摩耗しやすいこと。タイヤが温まるまではグリップ力が低くなってしまうので、冬場の使用は上級者でないと難しいでしょう。
おすすめのタイヤの素材
スチール主体のタイヤ
『スチール』は熱伝導がよいので、タイヤが温まるのが早くなります。特に冬場は走行風もあってタイヤが冷めやすいのですが、芯の部分が温まっていると温度をキープできるので安定したグリップ力が得られます。
また力を加えても変化しにくいので、大きな車体用のタイヤによく使用されている素材です。タイヤ内の温度が高くなり、空気が膨張してタイヤ内に変化が起こるのを防ぐために窒素を封入する場合もあります。
ケブラー・アラミド・ポリアミドなどの合成繊維が主体のタイヤ
『合成樹脂』は軽量なので、合成樹脂のタイヤはその軽さが特徴です。タイヤなど回転する物体は、軽ければ軽いほど地面をしっかりとつかむので、コーナーでの安定性も高く、サーキットなどのスポーツタイプのバイクタイヤに多く使用されています。
合成樹脂は熱変化を起こしにくいので安定していますが、温まるのが遅いというデメリットがありるため、現在は合成繊維とスチールを併用し欠点を相殺した新商品も開発されています。