『電子ピアノ』は電気で動くデジタルピアノのことを指し、あらかじめ録音されたピアノの音を奏でる楽器です。録音された音なので調律の必要もなく、通常のピアノと比べてコンパクトなモデルもあります。
電子ピアノはさまざまな機能をそろえた機種もあり、ピアノの音色を奏でる以外の使い方も期待できます。グランドピアノなどの本格ピアノは手が出せないけれど趣味でピアノをはじめてみたい方は検討してみましょう。
電子ピアノの特徴
ヘッドホンでいつでもに練習可能
アパートやマンション暮らし、住宅密集地に住んでいる方にとって騒音対策は避けて通れないポイントです。本格的にピアノを練習するのであれば防音室の新設も検討する価値はありますが、ほとんどの方にとってはそこまで予算をかけられないでしょう。
そんな中、電子ピアノは多くのモデルでヘッドホン対応しており、周囲へ迷惑をかけず、低予算でピアノを楽しめます。
音色を変えて演奏の幅が広がる
電子ピアノはあらかじめ録音された音を発しているものなので、ピアノ以外の音色を録音したモデルであればさまざまな楽器の音色を奏でられます。スペースが限られている部屋に多くの楽器を取りそろえるのは、保管スペースはもちろん金銭的にも負担になるものです。しかし電子ピアノであれば1台でさまざまな音楽を楽しめます。
最近はUSBメモリーをつければ録音できるモデルや、スマホ・タブレットに対応したモデルもあり、手軽に音楽を録音・共有できます。
サイズがコンパクト
演奏会などで使われるグランドピアノは非常にサイズが大きく、高さはもちろん奥行もあるので設置できる部屋が限られてしまいます。しかし電子ピアノであれば音色を奏でるための、ハンマーで弦をたたく機構などがないため、設置スペースをとられません。
おすすめの電子ピアノの種類
電子ピアノは『デジタルピアノ』と『キーボード』の2種類に大別されます。細かな違いはありますが、持ち運びや手軽な価格を求めるならキーボード、ある程度のクオリティや本格的な演奏感でピアノを弾きたければ、デジタルピアノを選ぶほうが向いているでしょう。
デジタルピアノ
『デジタルピアノ』はあらかじめ録音されたピアノの音色を鍵盤にあわせて発する楽器です。音色にこだわったハイエンドモデルからヘッドホン対応・USBメモリ対応など、機能にこだわったモデルなど種類が多く、実際のピアノに近い演奏感を体験できる点がポイントとなります。
キーボード
『キーボード』は鍵盤とスピーカー・ディスプレイのみを搭載した楽器で、デジタルピアノよりもさらにコンパクトなボディが特徴です。脚がないので1人でも持ち運びが容易で、机の上などで手軽にピアノを楽しめます。モデルによっては音質重視のもの、手ごろな値段で持ち運びが簡単なモデルなどあり、ピアノに興味がある初心者向けの楽器といえるでしょう。
おすすめの電子ピアノの選び方
サイズで選ぶ
電子ピアノはコンパクトサイズモデルもあり、持ち運びやすい製品も多くあります。しかし本格的にピアノを練習したい場合は、白鍵と黒鍵があわせて88コある88鍵盤のモデルを選ぶことをおすすめします。88鍵盤は横幅が大きくなり、持ち運びにくくなる点に注意が必要です。本格的なモデルを購入するなら、本体サイズはタテ1.5m、ヨコ1.5mほどの設置スペースは必要です。
ペダルと鍵盤
本格的にピアノを学習したい人には88鍵盤に対応し、ペダルは3コついているモデルを購入することをおすすめします。キーボードタイプの電子ピアノにはペダルがついていないので、しっかりした作りのデジタルピアノを選ぶとよいです。
鍵盤のタッチ感
ハンマーで弦をたたく必要があるアコースティックピアノと比べて、電子ピアノは鍵盤をたたいたときの感触が軽い傾向にあります。レッスン中に軽いタッチ感に慣れてしまうと、本番でアコースティックピアノを演奏するときに違和感があるものです。
最近の電子ピアノメーカーは、アコースティックピアノと同じ打鍵感を再現することに力をいれているので、本格的に学びたい方は注意して選びましょう。
鍵盤の素材
電子ピアノは基本的に樹脂製のものが多く、打鍵時に特有のカチャカチャした感じがします。アコースティックピアノと変わらない打鍵感を意識するなら、鍵盤は木製のモデルが適しているでしょう。
木製鍵盤はアコースティックピアノと変わらない弾きごたえと打鍵感があり、電子ピアノと本番のピアノとのギャップが生まれにくいことが特徴です。
音色とスピーカーで選ぶ
電子ピアノは録音された『音色』の種類と『スピーカー』の多さで性能が変わります。
ピアノメーカーによって音色が異なるので、サンプリング数が多いモデルのほうが多彩な演奏をしやすく、スピーカーの数が多く質のいいほうが臨場感のある演奏が可能です。高価格モデルの電子ピアノは多くの音色に対応し、スピーカーの数も多い傾向にあります。
付属機能で選ぶ
同時発音数
鍵盤を同時にたたいたときに発せられる音、もしくは発した音がどれほど余韻を含むかを決めるのは同時発音数によって決まります。同時発音数が多いほど自然な演奏となり、ペダルを踏んだときにもキレイな音色を表現できます。同時発音数が少ないと不自然に音が切れたりするので、音楽を楽しみたい方は同時発音数に注意しましょう。
音色の切り替え機能
電子ピアノは録音された音を発するので、モデルによってはギターやドラムなど他の楽器の音色を再現できます。
後述する録音機能と組み合わせられれば、1台の電子ピアノで複数の楽器を使った音楽を作ることも可能です。音楽作成が趣味の方は録音に対応し、複数の楽器音源を収録した電子ピアノを選ぶことをおすすめします。
録音機能
電子ピアノによっては演奏した音を録音することもできます。USBメモリーを使って録音したり、最近のモデルであればスマホやタブレットに無線経由で収録した音源を共有することも可能です。とつぜん頭に浮かんだメロディーを録音したいときや、趣味で作成した音楽をより手軽に共有するときに重宝する機能です。
1人で練習した曲をあとで復習するために聴き返すといった使い方もできます。
デモ演奏機能
電子ピアノによっては特定の音楽をあらかじめ収録してある『デモ演奏機能』に対応したモデルもあります。実際に曲を聴いて曲を覚えることもできますし、音楽鑑賞として利用することも可能です。
収録されている曲は有名なものばかりなので、教養を身につけるのにも最適です。最近は動画サイトなどで手軽に音楽を聞けますが、デモ演奏に収録されている曲はメーカーが選定したプロの音源なので、安心して学べます。
予算で選ぶ
電子ピアノはだいたい10万円単位でスペックに違いが生まれてくる傾向にあります。10万円未満のモデルは機能をしぼった製品が多く、コンパクトかつ手ごろな価格で入手できますがそれなりのものが多いです。
20万円程度の電子ピアノは性能に優れており、ピアノを本格的に練習したい方向けの価格帯といえるでしょう。
30万円以上の電子ピアノはグランドピアノに近いスペックを備えており、いいピアノが欲しいが、騒音対策ができない方や調律の手間を省きたい方向けのモデルとなっています。
電子ピアノのおすすめメーカー
YAMAHA (ヤマハ)
ピアノメーカーといえば『YAMAHA』。学生時代の音楽室のグランドピアノに刻まれた、『YAMAHA』ロゴで覚えた方も多いのではないでしょうか。
YAMAHAは電子ピアノも作っており、グランドピアノと遜色ない音色や演奏感を再現する技術に定評があります。これからピアノを習いはじめる初心者からグランドピアノでの演奏もする上級者まで、幅広い方におすすめできるメーカーです。
Roland (ローランド)
『Roland』は電子楽器メーカーとして有名で、ピアノに限らずさまざまな楽器の知見に富んでいるのが特徴です。電子ピアノではギターやドラムなど多彩な音源を収録したモデルに強く、ピアノ以外の電子楽器も使いたいユーザー向けのブランドといえます。
音源だけでなくバックグラウンドでの伴奏や、無線通信によるスマホ・パソコンとの連携にも対応したモデルが発売されているのが特徴です。
CASIO (カシオ)
電卓で有名な『CASIO』ですが、実は電子ピアノ分野でも一定の知名度があります。一般的にはコストパフォーマンスに優れた電子ピアノメーカーという位置づけですが、『CELVIANO』シリーズは有名ピアノメーカーと共同開発するなど、ハイエンドモデルにも力を入れているのがポイント。
CASIOの電子ピアノは楽器屋よりも家電量販店で値引き販売されているケースも少なくありません。入手しやすさという点でおすすめできるメーカーです。
KAWAI (カワイ)
YAMAHAに次いで有名な日本の大手ピアノメーカー『KAWAI』も電子ピアノを販売しています。KAWAIのアコースティックピアノと同じ打鍵感を再現するためタッチは重めとなっており、ミドルレンジ以上のモデルでは木製鍵盤を素材とした本格派電子ピアノとなっています。
KAWAIブランドのピアノに慣れ親しんだ方や、アコースティックピアノと変わらない打鍵感を求めている方におすすめです。
KORG (コルグ)
『KORG』は電子ピアノに限らず電子楽器全般に強みがあり、かつデザイン面でも優れた製品を多く取り扱っているのが特徴です。多彩な機能を備えた電子ピアノはもちろん、見栄えのよいものも多いので部屋の雰囲気を保ちつつピアノを楽しめます。
KORGはチューナーやエフェクター、シンセサイザーでも有名なメーカーであり、豊富な音楽機器にかかわるノウハウを蓄えております。