『洗濯機』は家電の中では、非常に寿命の長い製品です。しかも1家に1台の必需品。最新の洗濯機には、さまざまな機能が搭載されて、いざ選ぶとなると目移りしてしまいそうです。
しかし選ぶべきポイントを整理すれば、自宅に最適な1台が必ず見つかるはず。ここではおすすめの洗濯機の特徴と、上手な選び方を紹介します。色々な角度からチェックして、ご家庭にベストな洗濯機を探してみましょう。
洗濯機を選ぶ前のおすすめチェックポイント
洗濯機選びをはじめる前に、洗濯機の基礎知識について確認しておきましょう。
設置場所をチェック
洗濯機は水を扱う家電なので、『設置場所』は他の家電よりも限られます。防水パンが設置されている家庭では、そこにセットすることになるでしょう。その場合洗濯機が大きすぎると設置できないので、防水パンのサイズは必ず確認してください。
他にも給水用の蛇口の位置、排水口の位置などを確認した上で、洗濯しやすくスペースにも余裕がある場所を選んでください。また洗濯機が大き過ぎて家に入らない、といったことがないように、搬入経路の寸法も確認しておきましょう。
電気代と水道代をチェック
1回の洗濯にかかる『電気代』と『水道代』は、洗濯物の量や使い方によって大きく変わるため、正確な数字で表すことは難しいのですが、大まかに言うと電気代・水道代共に、縦型洗濯機よりもドラム式洗濯機の方が低コストで済みます。
サイズによりますが、電気代は1日あたり約2~3円で、水道代はその10倍の約20~30円が目安です。ただしこれは洗濯だけの場合で、乾燥まで行うともっと掛かります。
特に縦型洗濯機で乾燥まですると、ドラム式の倍以上の電気代が掛かります。
家族の生活パターンをチェック
家族が多いと当然大型サイズの洗濯機を選ぶことになりますが、少人数でも日中仕事で家にいない場合、数日分まとめて洗うことになるため、やはり大型サイズの洗濯機が必要です。
また洗濯物を外に干せない場合には、乾燥機能の有無や性能がポイントになります。逆に毎日洗濯物を外に干せる家庭では、乾燥機能のない洗濯機でも充分です。その分洗濯性能の高いモデルを選ぶことをおすすめします。
集合住宅で夜に洗濯する場合などでは、静音性にも注意が必要です。
おすすめの洗濯機の選び方
ではここからは、具体的に洗濯機を選ぶポイントについて見ることにしましょう。
タイプから選ぶ
洗濯機には大別して3つのタイプがあります。それぞれの特徴を説明します。
縦型洗濯機
洗浄能力で選ぶなら、小スペースでも設置できる『縦型洗濯機』がおすすめ。回転式の水流で衣類を『もみ洗い』するため、汚れ落ちがよいのが特長です。上部が開く構造で使いやすく、メンテナンスがしやすいというメリットもあります。
一方でドラム式に比べて使用水量が多く、乾燥機能まで使うと消費電力が大幅に上昇するというデメリットもあります。以前は小型サイズが多かった縦型洗濯機ですが、最近は大容量タイプも充実してきましたので、注意が必要です
ドラム式洗濯機
省エネと乾燥機能で選ぶなら、『ドラム式洗濯機』がおすすめ。このタイプは水流の中で、衣類を上から下に落として洗浄する『たたき洗い』がポイントで、少ない水量で洗えるというメリットがあります。また乾燥機能が優れているので、衣類をムラなく乾燥できて、しかも省エネです。
難点としては縦型洗濯機に比べると、やや洗浄能力に差があることと、ドアの開閉のためにある程度スペースに余裕が必要になること。ただ最近ではスリムサイズも登場しているので、置き場所に困ることは少なくなりました。
二槽式洗濯機
今では非常にオーソドックスなスタイルの『二槽式洗濯機』。洗濯物の量が多い家庭ではかなり役に立つはずです。ポイントは『二槽式』という構造にあり、これなら洗濯と脱水とが、同時進行で行えるのです。
たしかに全自動に比べると手間はかかりますが、単純に言って同じ時間内に2倍の作業が可能です。しかも洗濯時間・脱水時間・使用水量が、手動ですが最適な状態に設定できるので、とことん省エネにこだわった使い方も自在です。価格が安いという大きなメリットもあります。
サイズ (容量)で選ぶ
洗濯物の量は一般的に、1日1人あたり1.5kgが目安になります。家族の人数や、何日分を1回に洗うかなど、家族の生活パターンを考慮して洗濯機のサイズを決めましょう。
薄い上掛け布団や毛布なども洗う場合には、たとえば4人家族でも少し余裕をもって、7kg以上の大型タイプを選ぶことをおすすめします。
一つ注意が必要なのは、同じ洗濯機でも洗濯容量と乾燥容量は違うということ。大型サイズでも容量一杯に洗ってしまうと、乾燥は2回に分けなければなりません。その点もプラスして選んでください。
機能性で選ぶ
洗濯機を機能性から選ぶポイントを紹介します。洗う以外にも色々な点で、各メーカーの創意工夫が見られます。
洗浄能力
洗濯機本来の使命である『洗濯』の性能に関しては、微細な泡を作り出して、衣類の奥まで洗剤を浸透させる技術が登場したことで、洗浄能力が格段にアップしました。
また洗濯水の温度を設定できるモデルも多く、最も洗浄効果の高い温水洗いも可能になっています。ただし温水洗い機能を使うと、洗濯~乾燥時間がかなり長くなることは要チェック。洗浄能力のアップは、各メーカーが競い合っているポイントなので、それぞれの最新機能を確認してみてください。
乾燥機能
洗濯機の『乾燥機能』には、主に2つの乾燥方式があります。1つはドラム式洗濯機に多い『ヒートポンプ乾燥』で、非常に省エネで運転できるというメリットがあります。
もう1つは縦型洗濯機に多い『ヒーター乾燥』で、高温の熱風で乾燥させるため、消費電力が大幅にアップする点と、冷却水を使用する必要があることから、省エネにこだわる家庭には向きません。
他にも、完全に乾燥はできませんが、送風機能を搭載している洗濯機もあり、部屋干しが多い家庭では役に立つでしょう。
静音性
集合住宅だったり、夜に洗濯する機会が多い家庭では、なるべく『静音性』の高い洗濯機を選ぶ必要があります。その際にポイントになるのは、『低音設計モーター』を使っているかどうかです。
また静音性に優れているインバーター制御かどうかもチェックしましょう。インバーターがモーターの回転を適切にコントロールするので、運転音を抑えるのに効果的です。
運転音は洗濯時よりも脱水時の方が大きくなりますが、この数値が40~45dBのレベルなら音を気にすることもないでしょう。
その他機能がポイント
最新の洗濯機には『スマホ連携』機能が搭載されているモデルもあります。これは外出先から洗濯機を操作できる機能で、帰宅する時には洗濯~乾燥まで完了という便利さ。
同じように『予約タイマー』機能付きなら、指定の時間までに洗濯が完了します。
ほかにも洗剤の『自動投入機能』があれば、あらかじめ洗濯機に洗剤を補充しておくと、後は洗濯機が自動で適量を投入してくれますし、『自動掃除機能搭載のタイプなら、自動で洗濯槽内を掃除してくれるので、いつでも清潔な状態で洗濯物が仕上がります。
価格で選ぶ
洗濯機もサイズや機能によって、価格には大きな幅があります。まず5kg未満の『小型タイプ』は、海外メーカー製なら20,000円前後から縦型洗濯機が探せます。『二槽式洗濯機』はどのサイズでも、20,000~30,000円の価格帯で見付けられるでしょう。
『ドラム式』になると最低でも65,000円程度から探すことになります。さらに完全な乾燥機能搭載タイプになると、100,000円前後からのラインナップが一般的。
ちなみに最高クラスのハイエンドモデルでは、12kgサイズで『縦型洗濯機』が200,000円前後、『ドラム式』なら300,000円前後が目安です。
おすすめの洗濯機メーカー
洗濯機は家電の中でも、国内メーカー製のモデルが主流です。それぞれに特徴があるので、メーカーで選んでみるのもよいでしょう。
日立の洗濯機
『日立』の洗濯機は、節水しながら効率よく汚れを落とす『ナイアガラビート洗浄』が特徴。頑固な汚れや黄ばみにも、高い洗浄力を発揮してくれます。ドラム式には衣類のシワのばし乾燥ができる『風アイロン』を搭載。アイロンがけの手間を軽減してくれます。
Panasonic (パナソニック)の洗濯機
『Panasonic』の洗濯機は、循環ポンプで洗剤を泡立てる『泡洗浄』搭載で、どんな汚れでもしっかりと洗い上げます。洗濯水の温度調節が可能なので、衣類や汚れに合わせて最適な温度で洗濯できます。
また『エコナビ』機能搭載のモデルなら、自動的に節電・節水運転をしてくれます。
東芝の洗濯機
『東芝』の『ウルトラファインバブル洗浄』機能は、ナノサイズの微細な泡を作り、洗剤を衣類の奥にまでしみ込ませて洗浄する技術です。すすぎでもこの機能が効果を発揮して、衣類をムラなくきれいに仕上げてくれます。
静音設計にもこだわっているため、洗濯中の音が気になる家庭には特におすすめです。
SHARP (シャープ)の洗濯機
『SHARP』独自の『プラズマクラスター』により、ナノレベルの汚れまで徹底的に洗浄できます。洗濯槽に穴が開いていない『穴なし槽』を採用することで、節水と掃除の手間軽減を両立させています。省エネにこだわる大家族には特におすすめです。
その他メーカーの特徴
国内大手メーカー以外の、『アイリスオーヤマ』・『ハイアール』・『マクスゼン』などのメーカー製洗濯機は、やはりコストパフォーマンスが最大のポイントです。とはいえ最近のモデルは性能や機能面でも充実していて、メーカーにこだわらなければ、低価格で満足できる1台を見つけられるでしょう。
おすすめの洗濯機の活用術
最後に洗濯機を賢く買い替える方法と、上手に活用する方法を紹介しておきます。
容量に余裕を持って洗う
洗濯機の使い方でよく誤解されるのは、洗濯物の容量についてです。各モデルに記載されている『5kg』などの容量は、最大で投入できる洗濯物の量です。しかしこの容量めいっぱいまで、ギュウギュウに洗濯物を詰め込んでしまうと、洗浄能力が大きく低下するだけでなく、電気や水道の使用量も大幅にアップします。
通常の洗濯では『容量-1kg』程度を目安に、少し容量に余裕を持たせて洗うようにしましょう。洗濯物が多い時には、全体を2回に分けた方が結果的にはお得です。
洗濯機の掃除も忘れずに
いくら高性能の洗濯機でも、洗濯槽内部が汚れていては洗濯物をきれいに仕上げられません。目に見えない洗濯槽の裏側部分は、意外に汚れやカビが付着しやすいのです。さらに雑菌が繁殖してしまうと、臭いの原因にもなってしまいます。
そこで月に1~2回は、市販の洗濯槽クリーナーを使って掃除するようにしましょう。他にもゴミ取りネットや洗剤投入口など、雑菌やカビが繁殖しやすい部分も、定期的に掃除するようにしてください。